◎マスク氏はツイッター社がbotやスパムアカウントの情報を開示しなかったと指摘している。
テスラ社のイーロン・マスクCEO(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

テスラ社のマスク(Elon Musk)CEOは8日、440億ドルのツイッター買収計画を破り捨て、ツイッター社は複数の契約違反を犯したと非難した。

マスク氏は4月にツイッター買収を表明し、先月には同社の従業員とミーティングを開催するなど、買収に向けた準備を進めているとみられていた。

マスク氏はツイッター社がbotやスパムアカウントの情報を開示しなかったと指摘している。

ソーシャルメディアプラットフォームにおけるスパム行為とは、不特定多数のユーザーに同一内容のツイートやダイレクトメッセージを送り、受け取ったユーザーが「悪質であると判断したもの」を指す。

マスク氏は以前からツイッター内のスパムアカウントの存在に懸念を表明していた。botは特定の時間に自動ツイートする自動発言システムである。

ツイッター社はマスク氏の決定を批判し、買収を履行させるために法的措置を取ると警告している。

ツイッター社のアグラワル(Parag Agrawal)CEOは8日、「ツイッター社の取締役会は、マスク氏と合意した価格・条件で取引を完了すると約束します」とツイートした。

買収契約には10億ドルの手数料が含まれている。

マスク氏は5月、ツイッターのbotとスパムアカウントに改めて懸念を表明し、「ツイッター社がこの情報を提示しないため、買収手続きを保留している」とした。

マスク氏は「botやスパムの数は全ユーザーの5%未満」という同社の主張を裏付ける証拠を開示するよう求めていた。

マスク氏の弁護士は米証券取引委員会に提出した書簡の中で、「ツイッター社はこの情報を提供しなかった、または提供を拒否した」と述べている。

ツイッター社によると、同社は毎日、約100万のスパムアカウントを削除しているという。しかし、次々に新しいスパムが作られるため、いくら削除してもきりがない。

マスク氏は「botやスパムアカウントは全ユーザーの20%以上を占めている可能性がある」と指摘している。

ツイッターの株価は8日、マスク氏の発表後、約7%下落した。

マスク氏はスパムの情報開示を拒否されたため、取引を打ち切りたいと考えている。しかし、取引から手を引けるかどうかは不明である。マスク氏はツイッター社が契約に違反したことを証明する必要がある。

マスク氏がこの取引から手を引きたいと考える理由は他にもあると思われる。

ツイッター社の株価はここ数カ月で大幅に下落。7月8日ニューヨーク取引終了時点で36.81ドルとなり、マスク氏が提案した54.20ドルを大きく下回っている。

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