米国の賞味期限表示:切れたら捨てる?知っておくべきこと
米国では毎年数千万トン規模の食品が廃棄されており、その相当部分が家庭から出ている。
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食品の包装に表示されている「賞味期限」や「消費期限」を過ぎた途端、まだ食べられるにもかかわらず食品を廃棄してしまう消費者は少なくない。しかし、食品安全や食品ロスの専門家は、こうした行動の多くは誤解に基づくものであり、家庭で発生する大量の食品廃棄につながっていると指摘する。日付表示は必ずしも安全性を示すものではなく、その意味を正しく理解することが食品ロス削減につながるとして、表示制度の見直しや消費者教育の必要性が改めて議論されている。
米国では毎年数千万トン規模の食品が廃棄されており、その相当部分が家庭から出ている。米農務省(USDA)や環境保護庁(EPA)によると、家庭で捨てられる食品の中には、まだ十分に食べられるものが数多く含まれている。専門家は、その背景の一つとして、食品ラベルの日付表示を「期限を過ぎたら危険」という意味だと誤解している消費者が多いことを挙げる。
米国では、乳児用調製粉乳を除き、食品の日付表示を統一的に義務付ける連邦制度は存在しない。このため、「Best if Used By(この日までに食べると品質が最も良い)」「Best Before(この日までが最もおいしい)」「Use By(使用期限)」など、メーカーごとに異なる表現が使われている。これらの多くは味や香り、食感といった品質が最良である目安を示すものであり、安全に食べられる期限を意味するわけではない。
一方で、「Use By(使用期限)」という表示は安全性と結び付けて受け止められやすいが、これも多くの場合は品質を保証する目安として設定されている。実際には、保存状態が適切であれば表示日を過ぎても問題なく食べられる食品は少なくない。食品安全の専門家は、「日付だけではなく、見た目や臭い、保存状況を総合的に判断することが重要だ」と説明している。
例えば牛乳は、表示日を数日過ぎても適切に冷蔵されていれば飲める場合が多い。ヨーグルトやチーズも未開封で冷蔵保存されていれば比較的長持ちする。一方で、生肉や生魚、調理済み総菜などは傷みやすく、保存温度や経過時間に注意する必要がある。専門家は「日付表示は万能ではなく、食品の種類によってリスクは異なる」と指摘する。
米食品医薬品局(FDA)は、冷蔵庫の温度を4度以下、冷凍庫をマイナス18度以下に保つことを推奨している。また、調理した食品は室温に長時間放置せず、食べ切れない分は早めに冷蔵・冷凍することが食中毒予防につながる。保存方法を守ることが、日付表示以上に食品の安全性を左右する重要な要素となる。
こうした状況を改善するため、食品業界団体は表示方法の統一を進めている。品質の目安を示す「Best if Used By(この日までに食べると品質が最も良い)」と、安全上の期限を示す「Use By(使用期限)」の2種類に整理し、消費者の混乱を減らそうという取り組みである。専門家は、表示の意味を分かりやすくすることで、不必要な廃棄を減らせる可能性があると期待している。
食品ロスは家計だけでなく環境にも大きな影響を及ぼす。廃棄された食品は栽培や加工、輸送に使われた水やエネルギー、労力も無駄にするほか、埋め立て処分された際には温室効果ガスであるメタンを発生させる要因にもなる。このため、食品を必要以上に捨てないことは、資源の有効活用と気候変動対策の両面から重要な意味を持つ。
専門家は、日付表示を機械的に判断基準とするのではなく、食品の状態や保存方法を確認しながら消費することを勧めている。ただし、缶詰の膨張や異臭、カビの発生など明らかな異常がある食品は口にせず、少しでも安全性に疑問を感じた場合は廃棄することが望ましいとしている。食品ロスを減らすことと食の安全を守ることは対立するものではなく、正しい知識に基づいて判断することが、持続可能な消費行動につながるとしている。
