リペアカフェ:修理を通じて地域のつながりや持続可能な暮らしを取り戻す
大量生産・大量消費を前提とした社会への疑問が高まる中、修理を通じて地域のつながりや持続可能な暮らしを取り戻そうとする動きとして注目を集めている。
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壊れたスピーカーや動かなくなった時計、閉まらなくなったファスナー。こうした日用品を捨てるのではなく修理して使い続けようという「リペア(修理)カフェ(Repair Cafe)」の取り組みが世界各地で広がっている。大量生産・大量消費を前提とした社会への疑問が高まる中、修理を通じて地域のつながりや持続可能な暮らしを取り戻そうとする動きとして注目を集めている。
米ニューヨーク州ニューパルツで5月に開かれたリペアカフェには約50人が訪れ、古い扇風機や衣類、ぬいぐるみ、宝飾品など約85点が持ち込まれた。電気技師や大工、裁縫の専門家らボランティアが修理方法を教えながら作業を手伝い、その結果71点が修復されたという。参加者の多くは費用節約や愛着のある品を長く使いたいとの思いで訪れるが、主催者は「人々が協力しながら物の寿命を延ばすことに価値がある」と話す。
リペアカフェ運動は2009年にオランダで始まった。現在では世界約4000カ所に広がり、年間約85万点の品物が修理されている。創設者のマルティーヌ・ポストマ(Martine Postma)氏は、リペアカフェだけで社会を変えることはできないとしながらも、「経済や消費のあり方を見直す必要があることを示す存在だ」と訴える。
こうした動きの背景には物価上昇もある。新しい製品を購入する負担が増す中、修理によって出費を抑えようとする人が増えている。また、製品を長く使うことは廃棄物削減にもつながり、環境保護の観点からも支持を集めている。
リペアカフェと並行して、「必要な物を地域で譲り合う」活動や、自分で製品を修理できる権利を求める「修理する権利(Right to Repair)」運動も拡大している。専門家はかつて一般的だった修理の知識や技術が失われつつある一方で、人々が再びそれらを学び直そうとしていると指摘する。
ニューパルツの会場では、1930年代製の古時計が数時間の作業を経て再び動き出した。持ち主は喜びの声を上げ、修理を担当した元技術者も達成感を語った。使い捨てが当たり前となった時代に、物を直して使い続けるという選択肢が、消費社会を見直す新たな潮流として静かに広がっている。
