◎下院民主党は1.9兆ドル（200兆円）のコロナ救済法案を上院に送りつけ、バイデン政権が求める最低賃金（時給）15ドルを必ず成し遂げると誓約した。
アメリカンレスキュープラン
・アメリカンレスキュープラン：約1.9兆ドル（200兆円）
2021年2月？？、下院通過
2021年？？？？、上院通過
↓
2021年？？？？、バイデン大統領署名
・COVID-19経済救済法：9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
↓
2020年12月21日、下院通過
↓
2020年12月21日、上院通過
↓
2020年12月27日、トランプ大統領署名
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法（CARES法）：2.2兆ドル（230兆円）
2019年7月下院通過
↓
2020年3月25日上院通過
↓
2020年3月27日下院、上院の修正に同意
↓
2020年3月27日トランプ大統領署名
2月26日、下院民主党は1.9兆ドル（200兆円）のコロナ救済法案を上院に送りつけ、バイデン政権が求める最低賃金（時給）15ドルを必ず成し遂げると誓約した。
共和党は同法案に盛り込まれた最低賃金を引き上げる予算に猛反発しており、超党派を含む上院予算委員会もこの予算は削除しなければならないと主張している。
ジョー・バイデン大統領のコロナ救済計画のカギを握る同法案はまもなく下院を通過する予定である。しかし、上院は最低賃金引き上げを法案から削除する可能性が高く、新たな争いにつながると予想されている。
民主党は26日の記者会見の中で、「低迷している経済、失われた50万人以上の命、そして残された家族と中小企業は迅速かつ決定的な行動を求めている」と主張したうえで、共和党は国民の訴えを無視していると述べた。
これに対し、共和党のケビン・マッカーシー下院少数党首は26日の定例記者会見で、「これは救済法案ではない。これはアメリカ人ではなく、民主党の支持者だけを救済する」と反論した。
共和党のアンソニー・ゴンザレス下院議員は、「私たちは民主党と一緒に超党派的な方法で問題を解決したいと望んでいます」と述べた。
アンソニー・ゴンザレス下院議員：
「私たちのメッセージは明確です。しかし、民主党は私たちの意見を聞かず、法案を可決しようとしています。彼らは話し合わなければなりません。議会を無視すれば、彼らはいずれ大切なもの（過半数）を失うでしょう」
無党派のエリザベス・マクドノウ上院議員は先日、「上院（の予算委員会）は、コロナ救済法案から連邦の最低賃金を15ドルに引き上げる項目を削除し、生命維持に関する提案だけを残すよう求めます」と述べた。
法案は2025年までに連邦の最低賃金を段階的に15ドルまで引き上げることを求めている。なお、現在の最低賃金は7.25ドル。
AP通信によると、民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は、労働者に最低賃金15ドルを支払わない大企業に罰則を与える項目を同法案に追加したいと考えているという。
これは最低賃金15ドルのメインスポンサーである民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員と、上院財務委員会のロン・ワイデン上院議員の「（最低賃金15ドルを保証しない）大企業の法人税を引き上げる」という考えに沿ったものだった。
ナンシー・ペロシ下院議長もこの戦いに加わり、民主党は最低賃金の引き上げを求め戦い続けると誓約し、議会は共和党のプランBには応じず、「絶対にこの法案を可決する」と述べた。
ナンシー・ペロシ下院議長：
「上院がそれ（最低賃金15ドル）を却下すれば、私たちは固執します。私たちはそれが認められるまで立ち止まりません」
しかし、ペロシ下院議長は目標を達成する方法は明かさなかった。
民主党の指導者たちは進歩主義者やリベラルな有権者に屈しないことをアピールしたが、要求に応じない大企業の法人税を引き上げるという脅迫は、他の民主党員を困惑させている。
ハウスウェイズアンドミーンズ委員会のリチャード・ニール委員長（上院民主）は法人税の引き上げについての質問を避け、「民主党の戦略が決まるまで、私は何も口にできません」と述べた。
進歩主義者たちが最低賃金15ドルを押し通しても、上院共和党はフィリバスター（議事妨害）で対抗する。フィリバスターなしで法案を可決するためには賛成を60票獲得しなければならず、現在の上院の勢力（民主50－共和50）でこれを達成することは極めて難しい。
少数派は会期末までフィリバスターを宣言できるため、会期中に意見調整の見通しが立たない場合、多数派は法案の成立を諦めることになる。なお、フィリバスターを打ち切るためには上院の5分の3以上の賛成（60票）を得なければならない。
進歩的な民主党のプラミラ・ジャヤパル議員は、「フィリバスターを排除するためには上院の規則を変更する必要がある」と主張している。
しかし、36年間上院議員を務めたバイデン大統領を含むベテラン議員たちは、上院少数派の利益の保護を考え、フィリバスターの排除に反対している。
バイデン大統領は数週間前、「法案を可決するために上院の規則を変更することはないし、期待もしていない」と述べた。
民主党は現在、フィリバスターを回避できる特別な規則の下で救済法案を推進している。つまり、「民主党が団結できれば」共和党の妨害を受けることはなかった。しかし、無党派のエリザベス・マクドノウ上院議員は最低賃金15ドルはこの規則の通過に失敗したと先日宣言している。
予算の内訳（抜粋）
＜市民への直接支給＞
予算4,650億ドル：年収75,000ドル未満の個人1人に1,400ドル。
＜失業保険手当＞
予算3,500億ドル：1人毎週300ドルから400ドルに増額する。期間は9月まで。
＜コロナワクチン・検査・追跡＞
予算1,600億ドル：地域予防接種センター開設に200億ドル、学校のコロナ検査体制整備に500億ドルなどを提供。
＜食糧支援＞
予算未定：フードバンクへの給付を15％増額し、期限を9月まで延長。
＜中小企業支援＞
予算500億ドル：既存の中小企業向け支援「ペイチェック保護プログラム（PPP）」とは別の新しい中小企業を対象とした女性プログラムを提供。また、州、地方、部族、非営利団体向けの資金調達プログラムに350億ドルを投資。
＜学校再開＞
予算1,700億ドル：学生の学問的、社会的、感情的、精神的健康のニーズを満たすために1,300億ドル投資。コミュニティカレッジを含む公立大学、公立および私立の歴史的黒人大学と少数派奉仕機関に350億ドルを寄付。教育プログラム支援予算として州知事に50億ドルを提供。
＜育児＞
予算数百億ドル：チャイルドケアプロバイダーを支援するために、250億ドルの緊急基金を創設。既存のチャイルドケアおよび開発ブロック助成プログラムに150億ドルを投資。
＜メンタルヘルスサービス＞
予算数十億ドル：薬物乱用・精神保健サービス局と保健資源・サービス局に40億ドルを投資。
＜立ち退きモラトリアム＞
パンデミックの期間中に失業した低中所得世帯向けの賃借支援に250億ドル。賃借人の光熱費サポートに50億ドル。立ち退きモラトリアムを9月30日まで延長。
＜州ヘの支援＞
州政府、地方政府、および準州政府の支援に3,500億ドル。
＜税額控除の一時的な増加＞
児童税額控除の引き上げに1,200億ドル。（6歳未満：年間3,600ドル、6歳～17歳：年間3,000ドル）
＜健康保険料補助金＞
失業などで健康保険を失った人の保険料を助成したい。オバマケアの保険料補助金の増額。
＜緊急有給休暇＞
有給の病気および家族休暇手当の復活。病気、検疫、学校の閉鎖で子供の世話をしている人に14週間の有給休暇を保証する。
＜最低賃金引き上げ＞
1時間あたり15ドルに引き上げ。共和党は猛反発している。
