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人身売買疑惑の「テイト兄弟」について知っておくべきこと

テイト兄弟は米国とイギリスの二重国籍を持つ元プロキックボクサーで、競技引退後、インターネット上で活動を本格化させた。
2025年2月27日/米フロリダ州のフォートローダーデール・ハリウッド国際空港、記者団の取材に応じるアンドリュー・テイト氏(AP通信)

暗部フロリダ州マイアミで18日、SNSで世界的な知名度を持つアンドリュー・テイト(Andrew Tate、39歳)容疑者と弟のトリスタン(Tristan Tate、36歳)容疑者が逮捕された。イギリスの検察当局が強姦や人身売買などの罪で追起訴し、米国に身柄引き渡しを求めたことを受けた措置である。兄弟はすべての容疑を否認しており、今後は米国で引き渡し手続きが進められる見通しとなっている。

テイト兄弟は米国とイギリスの二重国籍を持つ元プロキックボクサーで、競技引退後、インターネット上で活動を本格化させた。特に兄のアンドリュー容疑者は高級車や豪邸、プライベートジェットなどのぜいたくな生活を前面に押し出し、「成功した男性像」を発信する動画で若年層の男性を中心に支持を集めた。

X(旧ツイッター)や動画共有サイトなどを通じて数百万人規模のフォロワーを抱え、「マノスフィア(男性中心主義的なオンラインコミュニティ)」を代表する存在として知られている。

一方で、その発信内容はたびたび社会問題となってきた。女性は男性に従うべきだとする発言や、性暴力を軽視するような投稿を繰り返したことから、「女性蔑視を助長している」と強い批判を受けた。一部のSNSはヘイトスピーチや有害なコンテンツに関する利用規約に違反したとして、アンドリュー容疑者のアカウントを相次いで停止したが、その後も一部のプラットフォームで活動を続け、人気を維持している。

兄弟を巡る法的問題は2022年に表面化した。ルーマニア当局は同年12月、人身売買や組織犯罪への関与などの疑いで兄弟を逮捕した。検察は兄弟が恋愛関係を装って女性を勧誘し、性的コンテンツの制作を強要して利益を得ていたと主張している。兄弟は一貫して容疑を否認しているが、この事件は現在も終結しておらず、ルーマニアでの捜査や司法手続きが継続している。2025年には渡航制限が緩和され、兄弟は米国へ移住していた。

兄弟はイギリスでも刑事責任を問われている。英国検察当局は2025年に起訴した事件に加え、ベッドフォードシャー州警察による追加捜査の結果、新たな被害者に関する証拠が得られたとして、2026年7月に起訴内容を大幅に拡大した。アンドリュー容疑者には強姦7件、人身売買3件、暴行3件のほか、児童のわいせつ画像や過激なポルノ画像に関する19件の罪が追加された。トリスタン容疑者も強姦2件、性的暴行1件、人身売買3件などで起訴されている。イギリスで兄弟が直面する訴因は合計59件に上る。

英国当局は兄弟の身柄引き渡しを米国に正式に要請している。今後は米国の裁判所が引き渡し条約の要件を満たしているかを審査し、認められた場合は最終的に米政府が判断を下す。代理人は「政治的な動機による不当な訴追だ」と主張し、すべての容疑について全面的に争う姿勢を示している。

テイト兄弟を巡る問題は、単なる刑事事件にとどまらない。影響力を持つインフルエンサーが、過激な思想や価値観を発信しながら若年層に強い影響を与えることへの懸念は世界的に高まっている。一方で、兄弟には熱心な支持者も多く、司法手続きやSNSによる規制を「言論弾圧」と受け止める声も少なくない。イギリス、ルーマニア、米国の3カ国にまたがる一連の法的手続きは、今後も国際社会の注目を集めることになりそうだ。

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