フランスの極右指導者ルペン氏、2027大統領選出馬へ、電子監視装置について知っておくべきこと
今回命じられた電子監視装置は、日本の保護観察制度とは異なり、刑務所への収容に代えて受刑者を自宅など指定された場所で生活させる「電子監視付き自宅拘禁」を実施するための制度である。
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フランス・パリの控訴院は7日、欧州議会資金の不正流用事件で横領罪に問われた極右政党「国民連合(RN)」の指導者マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)議員に対し、有罪判決を維持した上で、自宅拘禁と電子監視装置(電子足輪)の装着を命じた。一方、公民権停止期間を当初の5年から45カ月に短縮し、そのうち3分の2を執行猶予としたため、来年の大統領選への立候補は可能となる見通しとなった。ルペン氏は判決を不服として破毀院(最高裁)へ上告する方針を示している。
今回命じられた電子監視装置は、日本の保護観察制度とは異なり、刑務所への収容に代えて受刑者を自宅など指定された場所で生活させる「電子監視付き自宅拘禁」を実施するための制度である。受刑者は足首に電子装置を装着し、裁判所や刑執行判事が指定した時間帯は自宅などに滞在しなければならない。外出が認められる時間や行動範囲は個別に決定され、通勤や通院など正当な理由がある場合に限って外出が許可される仕組みとなっている。違反した場合は収監される可能性がある。
フランスで電子監視制度が広く活用される背景には、深刻な刑務所の過密状態がある。欧州拷問防止委員会(CPT)は、フランスの刑務所では慢性的な定員超過や劣悪な収容環境が続いていると繰り返し指摘しており、比較的刑が軽い受刑者については電子監視を活用することで収容者数を抑える政策が進められてきた。電子監視中も受刑者は刑期短縮制度の対象で、一定の条件を満たせば年間最大6カ月の刑期短縮や仮釈放が認められる可能性がある。
ルペン氏に対する監視装置の装着時期は、判決確定後に刑執行手続きが進められるため数カ月先になる可能性がある。このため、仮に上告が認められず判決が確定した場合でも、大統領選終盤には電子監視期間が終了している可能性もある。一方、最高裁への上告によって刑の執行が停止されれば、選挙期間中は電子監視を受けずに選挙運動を行える可能性も残されている。
事件は、2004年から2016年にかけて欧州議会の公設秘書に充てるべき資金をRNの党職員の給与などに流用したとされるもので、裁判所は約280万ユーロの公金が不正に使用されたと認定した。ルペン氏は一貫して不正を否定し、「政治的な意図を持った判決」と主張しているが、今回の控訴審でも有罪判断は覆らなかった。
電子監視装置を装着したまま政治活動を行うことは法的には可能であるものの、集会や地方遊説の日程は裁判所が定める外出可能時間に左右されるため、大規模な選挙戦では一定の制約が生じるとみられる。ルペン氏自身も控訴審判決前、電子監視を命じられた場合には大統領選への出馬を断念する考えを示していた。しかし判決後は、「国民に選択肢を示す責任がある」として方針を転換し、2027大統領選への立候補を強く示唆した。
この事件は、司法による政治家への説明責任の追及と、有力候補の政治活動の自由をどのように両立させるかという難しい課題をフランス社会に突き付けている。電子監視制度は刑務所の過密解消を目的とした一般的な刑事政策として定着しているが、大統領候補がその対象となるのは極めて異例であり、2027大統領選は司法判断と政治日程が交錯する異例の選挙戦となる可能性が高まっている。
