◎ロシア国防省は18日、ウクライナ侵攻は「新たな段階」に入ったと発表した。
ロイター通信/ロシア軍に掌握されたウクライナの地域(日本時間4月19日午前6時時点)

米国防総省は19日、ウクライナ向けの米国製兵器を積んだ航空機7機が24時間以内に欧州に入ると明らかにした。

ロシア政府は米国にウクライナへの兵器供与をやめるよう警告しているが、米国を含む西側諸国は東部ドンバスの激戦に備えるウクライナ軍に兵器を大量供与する予定である。

これらの兵器はバイデン大統領が先週承認した8億ドル(約1,000億円)の兵器パッケージの一部で、ヘリコプター、地対空ミサイル、砲弾、装甲車、その他装備が含まれる。

ワシントン・ポスト紙は国防総省当局者のコメントを引用し、「ウクライナ向けの出荷品は24時間以内に欧州に入る」と報じた。

ゼレンスキー大統領はロシア軍が港湾都市マリウポリを含む東部ドンバスへの攻撃を開始したことを受け、西側に追加の兵器と支援を求めている。

ゼレンスキー大統領は18日のビデオ演説で「ドンバスの戦いが始まった」と述べ、ロシア軍に徹底抗戦すると約束した。

ホワイトハウスは19日、バイデン大統領と西側首脳がオンラインで協議し、ウクライナへの軍事、経済、人道的支援を強化し、ロシアに責任を負わせる方法について話し合ったと声明を出した。

ホワイトハウスによると、会談にはショルツ独首相、マクロン仏大統領、ジョンソン英首相、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長、NATOのストルテンベルグ事務総長らが出席した。

ホワイトハウスは会談の目的について、「ウクライナに対する継続的な支援と、緊密な連携の一環としてロシアの責任を追及する努力について話し合うこと」とした。

ショルツ首相は会談後、「ドイツはウクライナに対戦車兵器、防空兵器、長距離砲兵器を供給するつもり」と約束した。

ジョンソン首相もより多くの迫撃砲を送ると約束した。

カナダのトルドー首相は兵器供与に関する会見を別途行うと述べた。

バイデン大統領は記者から、「ウクライナにさらに兵器を供与する計画はあるか?」と問われ、「そうするつもりだ」とだけ答えた。

ホワイトハウスのサキ報道官は定例会見で、「米国はさらなる軍事支援、より多くの弾薬を提供し続けるだろう」と述べた。これらのコメントが、8億ドルの兵器パッケージのことを指しているかどうかは不明である。

一方、国防総省のカービー報道官は19日の会見で、「今日話せる追加の兵器供与計画はない」と述べた。また報道官は、ウクライナが将来、追加の兵器を求めることはあり得るとし、要求があればいつでも協議に応じると説明した。「ウクライナが追加兵器を求めた場合、私たちはその時のニーズに応じて兵器を提供します...」

しかし、元米国中央軍計画・戦略副長官のマーク・キミット元准将はアルジャジーラのインタビューの中で、「8億ドルの兵器パッケージには貴重な装備も含まれているが、ウクライナがこれまで失ったものにほとんど追いついていない」と警告した。

キミット氏によると、米国は「155mm榴弾砲(大砲の一種)18門、砲弾4万発、M113装甲兵員輸送車200台、Mi-17ヘリコプター11機、装甲多目的車100台」などを提供する予定。また米軍は今後数日以内にウクライナ兵に榴弾砲の訓練を行う予定である。

しかしキミット氏は、「この支援パッケージに魔法の弾丸はなく、率直に言って、東部攻勢を前にしては少なすぎる、遅すぎると言いたくなる。パッケージがこの先の戦闘に大きな違いをもたらすことはない」と断言した。

ロシア国防省は18日、ウクライナ侵攻は「新たな段階」に入ったと発表した。

また同省は高精度ミサイルでドンバスの13のウクライナ拠点を攻撃し、東部前線に近い町を含む60の軍事施設を攻撃したと主張した。

ロシア軍は東部ルハンシク州クレミンナを占領したと伝えられている。ウクライナ軍はこの地域から撤退した模様。

ロシアのラブロフ外相は、インドの大手誌インディア・トゥデイが放送したインタビューの中で、「特別軍事作戦は新たな段階に入り、非常に重要な局面を迎えると確信している」と語った。

ロシアは2014年に併合したクリミア半島と東部のテロ国家(ルガンスクとドネツク)を結ぶ陸上回廊を確保したいと考えており、その中間に位置するマリウポリの制圧に焦点を当てている。

プーチン大統領は5月9日の対独戦勝記念日に東部の制圧完了と勝利を宣言すると予想されている。

2022年4月19日/ウクライナ、東部クラマトルスク、ロシア軍の空爆で負傷した男性(Petros Giannakouris/AP通信)
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