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オーストラリア当局、イスラム国と関係のある女性3人逮捕、奴隷関連犯罪

捜査当局は2015年以降、シリアやイラクに渡航した自国民の活動実態を追跡してきた。
シリア北部の難民キャンプ(United Nations)

オーストラリア当局は8日、過激派組織「イスラム国(IS)」に関係していたとされる自国籍の女性3人を、シリアから帰国した直後に逮捕したと発表した。3人は奴隷関連犯罪やテロ組織への関与などの容疑をかけられており、長年にわたりシリア北部の収容キャンプに滞在していた。豪州では安全保障と人道支援をめぐる議論が再燃している。

連邦警察によると、メルボルン空港に到着した53歳の女は「人道に対する罪」にあたる奴隷所有や奴隷取引など4件の罪で起訴された。31歳の女も奴隷関連の2件の罪に問われている。いずれも最高刑は禁錮25年となっている。一方、シドニー空港で逮捕された32歳の女は、ISへの加入およびテロ組織支配地域への不法滞在の罪で起訴された。こちらは最高で禁錮10年となる。

捜査当局は2015年以降、シリアやイラクに渡航した自国民の活動実態を追跡してきた。今回の逮捕も長期捜査の一環で、女性たちがIS支配地域でヤジディ教徒の女性を奴隷として扱っていた疑いがあるという。ヤジディ教徒はISによる大量虐殺や性奴隷化の被害を受けた少数派宗教集団として知られる。

3人は2014〜16年ごろ、ISが「カリフ国家」の樹立を宣言していた時期に中東へ渡航したとされる。当時、欧米諸国から多くの若者や家族がIS支配地域へ向かい、豪州からも数十人が参加した。ISは2019年に事実上崩壊したが、その後も多くの外国人家族がシリア北部の収容キャンプなどに留め置かれていた。

今回帰国した13人は4月下旬にシリアを出発し、カタール経由で豪州へ到着した。アルバニージー政権は「帰国支援は行っていない」と強調しているが、法律上、自国民の入国を全面的に拒否することはできないとしている。アルバニージー政権はこれまで、IS関係者の帰国に慎重姿勢を示してきたが、国際社会からは子どもの人権保護を求める声が強まっていた。

帰国した子どもたちは多くがシリア生まれで、収容キャンプで幼少期を過ごしてきた。当局は心理ケアや脱過激化支援、教育プログラムなどを提供する方針を示している。支援団体「セーブ・ザ・チルドレン」は「子どもたちは親の行為の責任を負うべきではない」として、社会復帰支援の必要性を訴えている。

一方で、国内では治安悪化への懸念も根強い。野党や一部メディアは元IS関係者の帰国が新たな過激化の温床になりかねないと批判している。政府は「地域社会の安全を最優先する」と強調し、今後の裁判の行方とともに、帰国者の監視体制や社会統合政策が大きな課題となりそうだ。

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