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スペイン当局がコカイン30トンを押収、欧州史上最大、23人拘束

司法当局によると、積み荷の末端価格は8億1200万ユーロ(約1495億円)を超える可能性があるという。
コカインのイメージ(Getty Images)

スペイン当局が大西洋上で過去最大級となるコカインを押収した。スペイン警察と司法当局は7日、アフリカ北西部・カナリア諸島沖で貨物船から約30トンのコカインを押収し、乗組員23人を拘束したと発表した。押収量は欧州史上最大規模で、欧州全体に広がる麻薬密輸ネットワークの実態に改めて注目が集まっている。

摘発された船はコモロ諸島船籍の貨物船「アルコニアン(Arconian)」。スペイン沿岸警備隊が5月1日にカナリア諸島沖で拿捕した。司法当局によると、積み荷の末端価格は8億1200万ユーロ(約1495億円)を超える可能性があるという。今回の押収量は2024年にドイツ・ハンブルク港で押収された25トンを上回り、欧州記録を更新した。スペイン国内の過去最高記録は13トンであった。

捜査にはスペイン当局に加え、米国やオランダの捜査機関も協力した。捜査関係者によると、このコカインは南米から欧州へ向けて運ばれていたとみられ、洋上で高速ボートに積み替えたうえでスペイン本土へ密輸される計画だった可能性が高い。船内からは銃器や弾薬も見つかっており、犯罪組織が武装した状態で大規模輸送を行っていた実態も浮かび上がった。

乗組員23人のうち17人はフィリピン人で、残る6人はオランダ人とスリナム人だった。警察が船内に突入した際、6人は隠れていたという。カナリア諸島の裁判所は逃亡や証拠隠滅の恐れが高いとして全員を保釈なしで勾留する決定を下した。捜査当局は国際犯罪組織との関係や資金の流れについても調べを進めている。

欧州では近年、南米産コカインの流入量が急増している。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、欧州は北米に次ぐ巨大市場となっており、港湾や海上輸送網を利用した密輸が常態化している。特にスペインやオランダ、ベルギーは南米との海運ルートに近く、欧州向けコカインの主要玄関口となっている。犯罪組織は物流網の高度化に加え、暗号通信や資金洗浄技術を駆使し、摘発を逃れながら活動を拡大している。

スペイン当局は近年、麻薬対策を強化し、モロッコとの国境地帯や大西洋航路での監視を拡充してきた。今年に入ってからも地下トンネルを利用した密輸ルート摘発や、潜水艇型密輸船の押収が相次いでいる。今回の押収は欧州の麻薬市場が依然として巨大な利益を生み出している現実を示すものとなった。

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