◎ベラルーシは昨年5月23日、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアー社の民間旅客機をミンスクの空港に強制着陸させ、搭乗していた反対派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏とソフィア・サペガ氏を逮捕した。
2021年5月25日/ベラルーシ、逮捕されたジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏(左)とガールフレンドのソフィア・サペガ氏(ロイター通信)

1月20日、米国の連邦検察官は昨年5月に発生した英ライアンエアー社の民間旅客機強制着陸事件に関与したベラルーシの当局者4人をハイジャック行為で起訴した。

ベラルーシは昨年5月23日、ギリシャからリトアニアに向かっていたライアンエアーの旅客機の機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に着陸させたうえで、搭乗していた反対派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。

アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の命を受けた空軍はミグ戦闘機をスクランブル発進させ、旅客機をミンスクの空港に導いた。

米司法省は声明の中で、「ベラルーシ当局は機内に爆弾が仕掛けられていると虚偽の報告をし、旅客機を恣意的にミンスクの空港に着陸させた」と述べた。

FBI(連邦捜査局)は別の声明で事件を「無謀なハイジャック」と呼んだ。

国連も今週初めに公表した報告書の中で、爆弾は虚偽であると結論づけた。

ライアンエアー社のCEOは事件発生直後の声明で、ミンスクへの迂回を「国家公認のハイジャック」と呼び、厳しく非難していた。

逮捕されたプロタセビッチ氏とサペガ氏は現在、自宅軟禁下に置かれており、サペガ氏は昨年末に扇動罪で起訴された。両氏は15年以下の懲役刑を言い渡される可能性がある。

米司法省によると、強制着陸させられたライアンエアーFR4978便には米国民が搭乗していたため、管轄権に基づき起訴に踏み切ったという。

起訴された4人の当局者は米国で有罪判決を受けた場合、終身刑を言い渡される可能性がある。

AP通信によると、ワシントンD.C.とニューヨークのベラルーシ大使館は質問に応じなかったという。

ハイジャック事件は西側諸国の怒りを引き起こし、米国とEUはベラルーシに厳しい経済制裁を科した。ルカシェンコ大統領は当時、「当局は関係国の上空で航空機が爆破される可能性があることをいち早く察知した」と主張し、西側の制裁を非難した。

EUはベラルーシの国営航空会社を加盟27カ国の圏内から完全に締め出し、一部の当局者に制裁を科し、さらにベラルーシのタバコ、石油、カリ肥料を含む主要な輸出品に規制をかけている。

しかし、ベラルーシの同盟国であるロシアのウラジーミル・プーチン大統領は事件から数日後、西側の制裁に懸念を表明し、ルカシェンコ大統領の主張を支持すると表明した。

ルカシェンコ大統領はソチ会談の中でEUの制裁を何度も非難し、プーチン大統領はウンウンと何度もうなずいた。

2021年5月28日/ロシア、ソチの黒海リゾート、ウラジーミル・プーチン大統領とベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(スプートニク/クレムリン/プール/AP通信)
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