◎攻撃時、駅周辺には民間人約4,000人が集まっていた。
2022年4月8日/ウクライナ、ドネツク州クラマトルスクの駅近く(Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy's Telegram channel/AP通信)

ウクライナ政府は8日、東部ドネツク州クラマトルスクの駅近くにミサイルが着弾し、子供5人を含む少なくとも50人が死亡したと発表した。

ゼレンスキー大統領は同日、シートで覆われた遺体、駅近くと思われる場所に残された避難民の持ち物と血痕、ロシア語で「子供たちのために」と書かれたミサイルの破片などの写真をテレグラムで共有した。

ウクライナ検察庁によると、攻撃時、駅周辺には民間人約4,000人が集まっていたという。そのほとんどが東部地域から避難した子供、女性、高齢者だった。

ゼレンスキー大統領はSNSで、「ロシア軍はこの都市の放送局を故意に攻撃した」と非難した。一方、ロシアは非難を一蹴し、ロシア軍はドンバス地域でミサイルを使用していないと主張した。

ゼレンスキー大統領は、「戦場で我々に立ち向かう強さも勇気もないロシア軍は民間人を破壊している」と投稿した。「これは際限のない悪だ。そして、もしそれが罰せられないのなら、決して止まることはないだろう」

ドネツク州の知事は声明で、これまでに子供5人を含む50人が死亡し、30から40人が負傷したと明らかにした。

クラマトルスクの市長によると、地元の病院は負傷者の対応に苦慮しているという。「腕や足を失った重篤な人がたくさんいます」

イギリス外相は民間人へのミサイル攻撃を戦争犯罪と非難し、キーウ郊外のブチャを訪問したフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は攻撃を「残虐行為」と呼んだ。

ロシア軍が造ったとされるブチャの集団墓地を調査する作業は続いており、当局はフォン・デア・ライエン委員長の視察中にも多くの遺体を収容した。

ゼレンスキー氏は7日のビデオ演説で、キーウ郊外のボロディヤンカはブチャを超える悲惨な状況にあると警告した。

検察当局もボロディヤンカの惨状に懸念を表明している。AP通信によると、砲撃を受け倒壊した建物の一部から7日だけで26人の遺体が収容されたという。

西側政府はロシア軍がキーウや北部地域から撤退したと推定し、東部ドンバスに照準を合わせたと指摘している。

ロシアは2014年に併合したクリミア半島とドンバスのテロ国家であるルガンスクとドネツクを陸上回廊で結ぶために、マリウポリを含むアゾフ海に面する地域一帯を制圧したいと考えている。

ミサイル攻撃を受けたクラマトルスクはウクライナ政府の管理地域だが、ドネツク人民共和国も活動している。ロシアとドネツクはミサイル攻撃をウクライナ軍の犯行と非難した。

ロシア報道官も攻撃を非難し、ロシアは駅に着弾したミサイルを使っていないと主張した。

しかし、現地で調査にあたっている専門家などは、ロシアは戦争中に同種のミサイルを複数使用していると断じた。

ある専門家はSNSに、「ウクライナ軍が自国の民間インフラにミサイルを撃ち込む理由が見当たらない」と投稿している。「自国の駅にミサイルを撃ち込み、自国民を殺しますか?」

ウクライナの管理下にあるドネツクとルハンシク州はロシア軍の猛攻に備えている。

ルハンシク州の知事によると、ロシアは軍の再配備と進攻を安全に行うために、ウクライナ軍に対する砲撃と爆撃を強めているという。

ウクライナ政府は西側諸国に対し、ロシア軍の攻勢を止める兵器と制裁強化を求めている。

NATO外相は7日の協議で兵器供給を増やすことに合意した。8日にウクライナを訪問したスロバキア首相は、ソ連時代のS-300防空システムを寄贈したと明らかにしている。

ゼレンスキー大統領も3月に行った米議会演説で防空システム(パトリオット)の供与を求めていた。

2022年4月8日/ウクライナ、クラマトルスクの駅近くに着弾したミサイルの破片(Andriy Andriyenko/AP通信)
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