◎ロシア軍は東部と南部で攻勢を強めているとされる。
2022年5月11日/ウクライナ、北東部ハルキウ州郊外の村、民間人の遺体を掘り起こす人々(Andrii Marienko/AP通信)

ウクライナの検察当局は11日、国内で捕らえたロシア軍捕虜を裁判にかける計画を明らかにした。

ベネディクトワ(Iryna Venediktova)検事総長は声明で、2月末の民間人銃殺に関与したとされる21歳のシシマリン(Vadin Shyshimarin)軍曹を起訴したと発表した。

戦車部隊に所属していた被告は北東部の村で自転車に乗っていた62歳の民間人を射殺したとされる。

ベネディクトワ検事総長は、「被告は15年以下の禁固刑に処される可能性がある」と述べたが、裁判の開始日には言及しなかった。

検察当局はロシア軍による1万700件以上の戦争犯罪(疑い含む)を調査し、600人以上の容疑者を特定したと発表している。

戦争犯罪の多くはロシア軍が首都キーウ攻略を断念した後に発覚した。ブチャを含むキーウ郊外の町や村では民間人数百人が非人道的な行為で殺害されたとみられる。

国内で活動する主要な人権団体はSNSの投稿で、「戦時中の裁判で規則、規範、中立性を守ることは非常に難しい」と指摘し、公正であるかどうかを注視すると述べた。

ロシア軍は東部と南部で攻勢を強めているとされる。

ウクライナのガス輸送システム運営会社GTSOUは10日、ロシアからウクライナを経由して欧州に供給している天然ガスパイプラインの一部を停止すると発表した。GTSOUはロシア軍の攻撃の影響としている。

ロシアは複数のパイプラインで欧州にガスを供給しているため、影響は限定的と思われる。

一方、最初に陥落した主要都市のひとつである南部ヘルソン州の親ロシア指導者は11日、ロシアに併合を要請すると明らかにした。

親ロシア指導者はロシアメディアに対し、「ヘルソン州をロシアの完全な支配下に置くよう要請する」と語った。

ウクライナ当局は以前から、ロシアはヘルソンを含む複数の占領地で独立の是非を問う「偽の住民投票」を行う可能性があると警告していた。

東部ドンバスのテロ国家であるルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国はロシア編入の是非を問う住民投票を行うと宣言している。

ヘルソンは黒海に面した人口約30万人の港湾都市で、クリミア半島に淡水を提供している。ここを併合されれば、ウクライナは主要な港のひとつを失い、ロシアはクリミアの体制を強化できる。

ロシアのペスコフ報道官は11日、ヘルソンの併合について、「要請が認められるかどうかは住民の決定に委ねられるだろう」と語った。「領土の併合はクリミアがそうであったように、合法であることを確認・評価しなければならない...」

クリミアの親ロシア勢力は2014年に住民投票を行ったが、ウクライナと西側諸国はこれを認めていない。

ウクライナ大統領顧問はヘルソン併合計画を却下するとツイートした。「侵略者は火星や木星に加盟するよう求めるかもしれません。どんな言葉遊びをしようとも、ヘルソンは解放されます」

主要メディアによると、ヘルソンの住民はロシアの占領に抗議する小規模なデモを続けている。

AP通信の取材に応じたヘルソンの住民は、「ウクライナカラーのリボンをつけただけでロシア軍に誘拐されるため、公の場で抗議することは不可能」と語った。「私たちはウクライナ軍の到着を待っています。ロシアに住みたい、ロシアに併合されたいと思っている人は親ロシアの戦闘員だけです」

2022年5月10日/ウクライナ、東部ドネツク州郊外の村(Andriy Andriyenko/AP通信)
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