◎今回の攻撃範囲は非常に広く、多くの地域で停電が発生している。
2022年10月22日/ウクライナ、南部ヘルソン州の駅前(AP Photo)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は22日、ロシア軍がエネルギーインフラに対する新たな大規模攻撃を開始したと報告した。

ゼレンスキー氏は22日の公開した動画で、「今回の攻撃範囲は非常に広く、多くの地域で停電が発生している」と説明した。

ウクライナ大統領府によると、全国の約150万戸で停電が発生したという。

ゼレンスキー氏は「ウクライナ軍はテロリストのミサイルおよび自爆ドローンの大半を撃墜している」としたうえで、ウクライナ軍の前進を止めることはできないと強調した。

またゼレンスキー氏は「現在の防空システムでロシア軍のミサイルをすべて撃墜することはできない」とし、西側諸国により精度の高い防空システムの供与を急ぐよう呼びかけた。

ウクライナ政府によると、先週から始まった一連の空爆で全国の発電施設の3分の1が破壊されたという。

今回の攻撃の標的になったのはキーウの周辺地域、南部オデーサ州、西部リビウなど。多くの地元当局がミサイル攻撃と停電を報告した。

ウクライナ国営送電会社ウクレネルゴ社は22日、今回の空爆は今月初めの大規模攻撃より大きな被害をもたらした可能性があると警告し、キーウを含む10地域で計画停電を行うと発表した。

西部リビウの副市長はテレグラムに、「ロシア軍は冬を迎える前に重要なインフラを破壊し、前線以外の地域の被害を拡大させようとしている」と投稿した。

副市長は「ロシア軍は前線でウクライナ軍に圧倒され、やけくそになっている」と指摘した。「防戦一方のロシア軍のやけくそ攻撃は住宅やインフラに被害を与えています」

ゼレンスキー氏は21日、ロシア軍が南部ヘルソン州のカホウカ水力発電ダムに爆発物を仕掛け、爆破を計画していると報告し、ロシアを非難した。

大統領府によると、このダムが破壊されれば、下流域の住民数十万人が洪水の危険にさらされるという。ロシアは爆破計画を否定し、ウクライナ軍がダムに向けてミサイルを発射したと主張している。

このダムは現在ロシア軍の支配下に置かれているが、ウクライナ軍がすぐ近くまで迫っているとみられる。ウクライナ軍はヘルソン州のロシア首長が河川周辺の避難ルートに市民を誘導し、「人間の盾」にしていると非難している。

ウクライナ軍の猛攻を受け、ヘルソン州の市民数千人がロシア領に避難したとみられる。

ヘルソン州の親ロシア首長は22日、ウクライナ軍の攻撃が迫っているとして、市内の全住民に直ちにロシア領に避難するよう命じた。

ウクライナはロシア軍が市民を「強制連行」していると非難しているが、ロシアはこれを否定している。占領地からの住民の強制移送や国外退去は戦争犯罪である。

国連は先月、ロシアの占領地からウクライナの多くの児童が連行されたという信頼できる情報を得たと報告した。しかし、ネベンジャ(Vasily Nebenzia)露国連大使はこの疑惑を否定している。

一方、ウクライナ軍は22日、ロシア軍がヘルソン州の2つの集落から撤退したと報告した。

ロシア南部ベルゴロド州政府はウクライナ軍の越境砲撃で少なくとも2人が死亡、12人が負傷したと報告している。ウクライナ軍はこの主張に対する声明を出していない。

2022年10月22日/ウクライナ、南部ヘルソン州の駅前、ロシア軍の指示に従い避難する人々(AP Photo)
スポンサーリンク