◎ロシア軍はウクライナの士気を低下させるために民間施設を空爆しているものと思われる。
2022年7月15日/ウクライナ、中部ビンニツァ(Efrem Lukatsky/AP通信)

ウクライナ政府は15日、ロシアの戦略爆撃機から発射された巡航ミサイルが東部ドニプロに着弾し、少なくとも3人が死亡、15人が負傷したと発表した。

ウクライナ公共放送によると、南東部地域では15日深夜に空襲警報が鳴り響いたという。

ロシア軍は前線以外への攻撃を加速させており、中部ビンニツァの民間施設に対するミサイル攻撃では少なくとも23人が死亡、200人以上が重軽傷を負った。

ロシア軍が占領を目指している東部ドネツク州の戦況はほとんど明らかになっていない。ドネツク州知事によると、ウクライナ軍はルハンシク州の州境付近でロシア軍を押しとどめているという。

ロシア軍はウクライナの士気を低下させるために民間施設を空爆しているものと思われる。

ウクライナ空軍によると、カスピ海上空の戦略爆撃機から発射された巡航ミサイル数発がドニプロの工場に午後10時頃に着弾したという。空軍はミサイル4発を迎撃したと報告している。

ドニプロペトロウシク州のレズニチェンコ(Valentyn Reznichenko)知事はSNSの投稿で、「ミサイルは工場と通りを吹き飛ばし、少なくとも3人が死亡、15人が負傷した」と報告した。

キーウの南に位置する都市クレメンチュクでも空爆があったと報告されている。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は定例のビデオ演説で、空襲警報に注意し、安全な場所に身を隠すよう呼びかけた。

ロシア軍の潜水艦から発射された巡航ミサイルによるビンニツァへの攻撃は、2月24日の侵攻開始以来、最も悲惨な攻撃のひとつとなった。

犠牲者の中には4歳の少女、7歳と8歳の男児が含まれている。

少女の母親はAP通信の取材に対し、「娘に手を伸ばしたが、既に死んでいた」と語った。少女と母親の写真はSNSで広く共有されている。

ウクライナ内務省は15日、ロシア軍の民間人に対する攻撃が1万7000回を超え、確認されているだけで数千人が死亡し、数百万人が自宅を失ったと報告した。

また同省は、「ロシアの侵略戦争はウクライナ産穀物だけでなく世界の化石燃料や肥料輸出に大打撃を与え、世界経済に壊滅的な影響を及ぼしている」と警告した。

ウクライナとロシアはトルコ・国連仲介の会合でウクライナ南部の港に滞留している穀物の輸出再開に向けた協議を来週も行うとしている。

ロシア国防省の報道官は15日、イスタンブールで今週行われた4者協議に言及し、「最終文書を準備している」と述べた。報道官によると、ウクライナも航路による穀物輸送の再開を支持しているという。

報道官は声明の中で、「穀物輸送を再開する協定はウクライナへの海上兵器輸送を認めず、穀物の輸出のみ認め、いかなる挑発行為も禁じる」としている。

ウクライナ政府によると、南部オデーサ州の港などに滞留している穀物は2000万トン以上にのぼるという。

一方、中部ビンニツァのミサイル攻撃で死傷した200人以上のうち少なくとも80人が入院したままである。またゼレンスキー氏によると、少なくとも4人の行方が分かっていないという。

救助隊は医療センターが入っているオフィスビルとコンサートホールを重点的に捜索している。

ビニツィアの自治体報道官はSNSに、「ロシアは民間人を意図的に狙った」と投稿している。「前線から遠く離れた軍施設のないエリアにミサイルを撃ち込む必要がありますか?ロシアは国際人道法を踏みにじっています」

大統領府報道官はミサイル3発がビンニツァを破壊したと述べ、「民間人への攻撃はいつどこで起きてもおかしくない」と警告した。「他の地域で生活している人も空襲警報に耳を傾け、おかしいと思ったら身を隠せる場所に避難してください...」

ロシア軍はビンニツァへのミサイル攻撃に関する声明を発表していなかったが、15日午後に「市民ではなく空軍の会合を狙った」と発表した。

2022年6月28日/ウクライナ、ミサイル攻撃を受けた中部クレメンチュクの商業施設(Efrem Lukatsky/AP通信)
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