◎ホワイトハウスは、ウクライナへの侵攻と流血を防ぐ猶予はあと数日しかないと考えている。
2022年2月12日/メリーランド州のキャンプ・デービッド、ジョー・バイデン大統領(The White House/Getty Images/AFP通信)

米国や日本を含む12カ国はウクライナ東部の緊張が高まっていることを受け、ウクライナに滞在する自国民に退避を呼びかけている。

米国、日本、ドイツ、イギリス、カナダ、イタリア政府はウクライナに関する渡航情報を最高レベルに引き上げた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は侵攻を否定しているが、国境付近に集結した10万人以上の兵士、戦車、爆撃機、その他の侵攻に役立つ兵器は西側諸国とメディアの不安をあおった。

ジョー・バイデン米大統領は12日にプーチン大統領と電話会談を行い、ウクライナへの侵攻は重大な結果を伴うと再度警告した。

一方、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「西側諸国の退避勧告と戦争はいつ始まってもおかしくないという警告はパニックを誘発する」と懸念を表明した。

ホワイトハウスの安全保障問題を担当するサリバン報道官は11日、ロシアはいつウクライナに侵攻してもおかしくないと警告し、五輪期間中の侵攻もあり得ると述べた。CNNニュースなどによると、ホワイトハウスの高官は「空爆が侵攻開始の合図になる可能性がある」と述べたという。

AP通信も政府高官のコメントを引用し、「ロシアは侵攻開始日を2月16日に設定した」と報じた。

しかし、ロシア外務省はホワイトハウスの懸念を「勝手な憶測」と呼び、「侵攻はない」と強調している。

首都キエフの米国大使館は一部の職員に退去を命じ、13日から領事業務を停止する。ただし、ポーランドの国境に近い西部の都市リヴィウの領事館事務所は機能を維持する予定。

カナダ放送協会(CBC)は、「政府はキエフの大使館員を西部リヴィウに移動させるよう命じた」と報じた。イギリスのシモンズ駐ウクライナ大使はツイッターに、「自分と中核チームはキエフに留まる」と投稿した。

日本は首相官邸に危機対策管理センターを設置している。領事業務は維持する予定。

ロシア外務省もウクライナや第三国の挑発行為の可能性を理由に、外交官の人員配置を最適化すると発表した。

米国はウクライナ軍を訓練していた部隊約150人に撤退を命じている。オランダの航空会社KLMはウクライナ行きの路線を一時的に停止すると発表した。

ゼレンスキー大統領は12日の声明の中で、「西側諸国が確たる証拠をつかんでいたとしても、まだロシアは侵攻しておらず、侵攻が決まったわけではない」と述べ、情報が錯そうし過ぎていると懸念を表明した。

またゼレンスキー大統領は、NATOを含む西側諸国で情報を共有することが重要だと強調した。「ウクライナは誰よりもロシアを理解しています。ロシアはウクライナに侵攻するという確たる証拠があれば、ぜひ私と共有してください...」

オーストラリア、イスラエル、オランダなども自国民にウクライナから速やかに退避するよう呼びかけている。外交官とその家族を避難させた国もある。

ホワイトハウスの声明によると、バイデン大統領はプーチン大統領に、「侵攻すれば同盟国と強調して厳しい制裁を科す」と警告する一方、外交で問題を解決するシナリオにも備えていると述べた。

ロシア外務省は、「電話会談はヒステリーが最高潮に達した中で行われた」と述べ、バイデン大統領はロシアの安全保障上の懸念に対処していないと不満を表明した。外務省によると、両首脳は対話での解決を模索することに合意したという。

フランスのメディアによると、エマニュエル・マクロン大統領も12日にプーチン大統領と電話会談を行い、「誠実な対話」を求めたという。

緊張の最前線にあるウクライナではロシアの圧力に抗議するデモが続いている。ロシアは同盟国ベラルーシとの合同軍事演習だけでなく、黒海に展開した海軍の単独演習も開始したと伝えられている。

首都キエフに集まった数千人はウクライナへの忠誠とロシアの侵攻に反対するスローガンを唱えながら行進した。デモの主催者は極右組織と伝えられているが、親政府派とリベラル派も巻き込んで行われた。

子供と一緒に参加した女性はAP通信の取材に対し、「ロシアが攻撃を仕掛けてくれば、あらゆる手段で対抗する」と述べた。

ホワイトハウスは、ウクライナへの侵攻と流血を防ぐ猶予はあと数日しかないと考えている。米国とNATOはロシア軍と戦うために軍隊を派遣するつもりはないと強調しているが、侵攻とそれに伴う懲罰的制裁は、ロシアを超え、世界のエネルギー供給、市場、欧州のパワーバランスに影響を与える可能性がある。

ウクライナ軍最高司令官のヴァレリー・ザルジニー中将とオレクシー・レズニコフ国防相は12日、ロシアを強く威嚇する共同声明を発表した。「我々は花束ではなくスティンガーミサイル、ジャベリン、NLAWs(対戦車・対空兵器)で敵を迎え撃つ用意がある...地獄へようこそ!」

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