地方選大敗のスターマー英首相、辞任圧力に対抗も絶体絶命
ロイター通信によると、11日時点で70人以上の労働党議員がスターマー氏に退陣を促している。
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イギリスのスターマー(Keir Starmer)首相が深刻な政権危機に直面している。与党・労働党内で辞任を求める声が急速に拡大し、複数の閣僚経験者や議員らが公然と退陣論を展開している。発端となったのは先週行われた統一地方選での歴史的大敗で、労働党はイングランドやウェールズ、スコットランドで議席を失った。一方、右派ポピュリスト政党「リフォームUK」が躍進し、政界再編の可能性が強まっている。
ロイター通信によると、11日時点で70人以上の労働党議員がスターマー氏に退陣を促している。キャサリン・ウェスト(Catherine West)議員は11日、党首選実施を求める署名集めを開始したと表明し、「秩序ある政権移行」が必要だと訴えた。ウェスト氏は自ら立候補する意思はないものの、9月までに新党首を選出する日程を示すよう首相府に要求している。
スターマー氏はこうした圧力に対し、辞任を否定している。同氏は演説で、自身の政権を「10年計画」と位置付け、次の総選挙でも党を率いる考えを示した。また、英国経済の立て直しや生活水準向上を掲げ、欧州連合(EU)との関係改善を政権運営の柱に据える方針を打ち出した。さらに、英国製鉄業への公的関与強化や若年層雇用対策なども表明し、「批判者たちが間違っていることを証明する」と強気の姿勢を崩していない。
しかし、党内の不満は根深い。スターマー政権は2024年の総選挙で圧勝し、14年ぶりの政権交代を実現したが、その後は物価高や公共サービス停滞への対応が不十分だとの批判が強まった。加えて、マンデルソン(Peter Mandelson)氏を駐米大使に起用した人事を巡る問題や側近の辞任が相次ぎ、政権への信頼低下を招いた。2月には首席補佐官が辞任し、スコットランド労働党のサルワル(Anas Sarwar)党首も公然と首相退陣を要求する異例の事態となっていた。
党内では後継候補を巡る駆け引きも活発化している。ストリーティング(Wes Streeting)保健相やマンチェスター市長、レイナー(Angela Rayner)前副首相らの名前が取り沙汰されているが、いずれも現時点では正式な出馬表明を避けている。特にマンチェスター市長は下院議員ではないため、現行ルールでは党首選への出馬資格を持たない。
一方、党執行部周辺には「ここで党首交代に踏み切れば、かえって保守党政権末期の混乱を繰り返す」と慎重論もある。環境相らは、短期間で首相交代を繰り返した保守党の失敗を引き合いに出し、結束維持の必要性を訴えている。だが、世論調査ではスターマー氏の支持率低下が続き、労働党支持層の離反も鮮明になっている。スターマー氏が党内反乱を抑え込み、政権を維持できるかが最大の焦点となっている。
