イギリス政府、燃料税の引き上げ計画撤回へ=報道
ガソリンや軽油に課される燃料税をめぐっては、2022年に生活費高騰対策として導入された1リットル当たり5ペンスの減税措置が現在も続いている。
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イギリス政府が9月に予定していた燃料税引き上げを見送る方針であることが明らかになった。英紙サンが16日に報じたもので、リーブス(Rachel Reeves)財務相が来週にも正式発表する見通しだという。ガソリンや軽油に課される燃料税をめぐっては、2022年に生活費高騰対策として導入された1リットル当たり5ペンスの減税措置が現在も続いている。本来であれば今年9月に終了し、実質的な増税となる予定だった。
背景には、原油価格の急騰による国民生活への圧力がある。中東情勢の悪化を受けて原油価格が大幅に上昇し、イギリス国内でもガソリン価格や物流コストが上昇傾向にある。特にイラン情勢の緊迫化以降、エネルギー価格が急激に不安定化し、インフレ再燃への懸念が強まった。スターマー政権内では、ここで燃料税を引き上げれば家計負担がさらに増し、消費低迷を招くとの見方が広がったという。
スターマー(Keir Starmer)首相は物価高への対応を最重要課題に掲げてきた。特に地方部では自動車依存が強く、燃料価格は生活コストに直結する。政府関係者の間では「増税による政治的打撃は避けられない」との声も出ていた。最大野党・保守党に加え、右派政党リフォームUKも燃料税凍結の継続を求めており、政権への圧力が高まっていた。
一方で、財政面への影響は小さくない。燃料税収は年間約240億ポンドに達し、減税措置の継続は財政悪化につながる可能性がある。予算責任局(OBR)は燃料税の凍結を続けた場合、年間36億ポンド規模の税収不足が生じると警告している。すでに国債市場では、インフレ懸念や政治的不透明感から長期金利が上昇しており、政府の借入コスト増加も問題視されている。15日には30年物英国債利回りが1998年以来の高水準を記録した。
イギリス経済は高インフレと景気減速の板挟み状態にある。3月の国内総生産(GDP)は市場予想を上回ったものの、家計の景気実感は依然として厳しい。政府は増税回避によって消費者心理の悪化を防ぎたい考えだが、その一方で財政規律との両立という難題を抱える。減税の延長は有権者への配慮を優先した形だが、長期的には財源確保策をどう示すかが大きな課題となりそうだ。
