トランプ氏、対ロシア制裁の大部分を免除、発動直前に方針転換
対ロシア圧力を維持するか、エネルギー価格や外交関係を優先するか、トランプ政権の判断が改めて問われている。
.jpg)
トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、ロシアに対する新たな制裁や関税措置の大部分について、適用を免除する大統領令を発令した。先月署名した制裁法に基づく措置が発動する数日前の方針転換となる。トランプ氏は、免除が米国の国益にかなうと説明した。対象にはロシア産品への関税や、ロシア産の原油・天然ガスを購入する国に対する制裁が含まれる。
今回の措置は共和党の重鎮である故グラム(Lindsey Graham)上院議員が主導した「2026年リンジー・グラム対ロシア・イラン制裁法」に基づく。同法は2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアへの経済的圧力を強めることを目的としている。ロシア産の原油や天然ガスを大量に購入する上位5カ国から米国に輸入される製品などに、最大100%の関税を課す仕組みを盛り込んでいた。制裁の免除は、トランプ氏または政権幹部が追加措置を適切と判断するまで継続する。
背景には、米国内のエネルギー価格上昇への懸念がある。11月の中間選挙を控え、共和党が上下両院での多数派維持を目指す中、制裁発動によって原油価格がさらに上昇すれば、政権にとって政治的な負担となる可能性がある。ロシア産エネルギーの主要な購入国である中国とインドも、新たな関税措置に懸念を示していた。中国は国際法上の根拠を欠く域外管轄権に反対し、インドも米国との二国間関係への影響を警告していた。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は17日、この制裁免除について、ロシアだけを利し、侵攻をさらに助長すると批判した。米民主党の議員らも、ロシアへの譲歩はウクライナへの裏切りだと非難した。
一方、ロシア政府系ファンドのトップでプーチン(Vladimir Putin)大統領の側近でもあるドミトリエフ(Kirill Dmitriev)氏は17日、免除を歴史的な出来事と歓迎した。対ロシア圧力を維持するか、エネルギー価格や外交関係を優先するか、トランプ政権の判断が改めて問われている。
