独アウディ工場の労働組合が抗議デモ、閉鎖計画に反対
ネッカーズルム工場は約1万5000人を雇用するアウディの主力生産拠点の一つで、高級セダン「A5」「A6」「A8」のほか、電気自動車「e-tron GT」を生産している。
.jpg)
ドイツ南西部ネッカーズルムにあるアウディ工場で29日、工場閉鎖の可能性に反対する労働組合の抗議デモが行われ、約6000人の従業員や組合関係者が参加した。親会社フォルクスワーゲン(VW)が進める経営再建策の一環として、2030年以降にドイツ国内の複数工場が閉鎖対象となる可能性が浮上しており、従業員らは雇用維持と工場の将来について明確な説明を求めた。
ネッカーズルム工場は約1万5000人を雇用するアウディの主力生産拠点の一つで、高級セダン「A5」「A6」「A8」のほか、電気自動車「e-tron GT」を生産している。しかし、中国市場での販売低迷やEV需要の伸び悩み、米国の関税政策による影響などを受けて稼働率が低下し、約7万5000台分の余剰が生じている。夜間操業も縮小され、工場の将来に対する不安が高まっている。
デモでは「工場閉鎖は未来を奪う」「家族の生活が懸かっている」などと訴える声が相次いだ。参加した従業員はロイター通信の取材に対し、工場が閉鎖されれば自分たちだけでなく地域経済全体が深刻な打撃を受けると危機感を示した。
ネッカーズルム市長も、工場閉鎖は地域の雇用や関連企業に甚大な影響を及ぼすとして、存続に向けた対策を求めている。
VWグループは現在、世界的な競争激化への対応として大規模な構造改革を進めている。中国メーカーとの競争激化に加え、ドイツ国内の高い人件費やエネルギーコスト、EVへの投資負担が収益を圧迫しており、グループ全体では最大10万人規模の人員削減が検討されている。アウディも2029年までにドイツ国内で管理部門や開発部門を中心に7500人を削減する方針を発表している。
一方、VWのブルーメ(Oliver Blume)CEOは工場閉鎖以外の選択肢として、防衛産業との連携や、中国向けブランド車をドイツ国内の余剰工場で生産する案などに言及しているものの、具体的な計画は示していない。このため、従業員や労組は工場の将来像を早急に明確化するよう経営陣に求めている。
BMWもドイツ国内で数千人規模の人員削減を発表済み、ポルシェやメルセデス・ベンツでも事業再編が進むなど、ドイツ自動車産業全体が厳しい転換期を迎えている。世界市場の競争環境が大きく変化する中、伝統的な自動車産業の雇用をどのように維持していくかが大きな課題となっている。
