イタリア・ローマで移民反対派と賛成派がデモ行進
発端となったのは、欧州の極右勢力が推進する「再移住(リマイグレーション)」構想である。
.jpg)
イタリアの首都ローマで13日、移民政策をめぐって反移民派と支持派による大規模なデモが相次いで行われた。欧州各地で移民問題への関心が高まるなか、双方の主張が街頭で激しくぶつかる形となったが、厳重な警備体制の下で大きな衝突は発生しなかった。
発端となったのは、欧州の極右勢力が推進する「再移住(リマイグレーション)」構想である。これは移民や外国系住民を出身国へ帰還させる政策を掲げており、近年ドイツやオーストリアなどでも支持を広げている。イタリアでは関連する提案が5万件以上の署名を集め、議会で審議される見通しとなった。提案には、外国人の帰国を促す金銭的支援や強制送還措置の強化などが含まれている。
ローマ中心部では反移民派の集会が開かれ、参加者らは移民流入の抑制や送還政策の強化を訴えた。一部では独裁者ムッソリーニ(Benito Mussolini)を想起させる敬礼やスローガンも見られ、批判を集めた。主催者は欧州の文化的・社会的アイデンティティーを守る必要性を強調し、不法移民の増加が治安悪化や社会保障制度への負担につながると主張した。
これに対し、市内の別の地域では移民支援団体や労働組合、左派政党などが中心となり、より大規模な対抗デモを実施した。参加者は「移民は社会の一員だ」「差別に反対する」と訴え、人権や多文化共生の重要性を強調した。会場ではイタリア国旗に加え、パレスチナ旗を掲げる参加者の姿も見られた。主催者は、再移住政策は合法的に滞在する外国人まで排除対象とする危険性があり、差別や人権侵害につながると批判した。
イタリアでは近年、地中海を渡って到着する移民や難民への対応が政治の主要争点となっている。右派連立政権を率いるメローニ(Giorgia Meloni)首相は不法移民対策の強化を掲げる一方、労働力不足を補うため合法的な移民受け入れは維持している。そのため、極右勢力が主張する再移住政策への対応は政権内でも意見が分かれている。
今回のデモは欧州連合(EU)の新たな移民・難民制度が発効した直後に行われた。移民流入の管理強化を目指すEUの政策転換と歩調を合わせる形で、欧州各国では移民問題をめぐる議論が一段と活発化している。ローマでの対立する二つのデモは、移民をめぐる欧州社会の深い分断を象徴する出来事となった。
