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英ロンドンで反移民デモと親パレスチナデモ、警察が4000人投入

反移民デモは右派の反イスラム活動家が主催した。
2026年5月16日/イギリス、ロンドン市内、パレスチナとの連帯を表明するデモ(ロイター通信)
イギリス・ロンドン中心部で16日、移民政策に反対するデモと親パレスチナ派のデモが同時に行われ、数万人が街頭を埋め尽くした。政治的立場の大きく異なる二つの集会が同日に開催されたことで、ロンドン警視庁は約4000人の警察官を投入し、厳戒態勢を敷いた。

反移民デモは右派の反イスラム活動家が主催した。参加者たちは英国旗やイングランド旗を掲げ、「英国文化を守れ」「移民流入を止めろ」などと訴えた。演説ではイスラム教や難民受け入れ政策への批判が相次ぎ、一部では過激な発言やヘイトスピーチも確認された。主催者は支持者に対し、「地域政治に積極的に関わらなければ国を失う」と訴えた。

一方、親パレスチナ派のデモは「ナクバ(大惨事)の日」に合わせて行われた。ナクバは1948年のイスラエル建国時に多数のパレスチナ人が故郷を追われた出来事を指す。参加者はパレスチナ旗を掲げ、「ガザに自由を」「停戦を実現せよ」と声を上げ、スターマー政権によるイスラエル支援の見直しを求めた。主催者側は25万人が参加したと発表している。

警察は両デモの衝突を防ぐため、行進ルートを分離したほか、騎馬隊やドローン、ヘリコプター、顔認識技術などを投入した。駅周辺では抗議活動として初めてライブ顔認識システムも運用された。警察によると、暴力行為や公序良俗違反などに関連して少なくとも31人が逮捕されたが、「全体としては大きな混乱なく終了した」と説明している。

スターマー(Keir Starmer)首相は反移民デモについて、「憎悪と分断をあおるものだ」と批判した。英政府は事前に欧州や北米の極右活動家11人の入国を禁止し、暴力的扇動への警戒を強めていた。一方で、保守派の一部からは「表現の自由を制限している」との反発も出ている。

イギリスでは近年、移民問題や中東情勢を巡る社会的対立が深刻化している。2023年以降のガザ戦争を背景に、親パレスチナ運動と反移民・反イスラム運動はいずれも勢力を拡大してきた。経済停滞や生活費高騰への不満も重なり、社会の分断は一段と先鋭化している。今回の同時デモはイギリスが抱える政治的・文化的緊張を象徴する出来事となった。

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