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マンモグラフィー検診はいつから受けるべき?

議論を呼んでいるのは、米国内科学会(ACP)が公表した新たな指針である。
マンモグラフィー検診のイメージ(Getty Images)

乳がん検診はいつから受けるべきか。米国でマンモグラフィー検査を巡る推奨基準が分かれ、女性たちの間で混乱が広がっている。専門機関ごとに「40歳から」「45歳から」「50歳から」と開始年齢が異なり、検査頻度についても「毎年」か「2年ごと」かで意見が割れているためだ。

議論を呼んでいるのは、米国内科学会(ACP)が公表した新たな指針である。ACPは平均的なリスクの女性について、50~74歳で2年に1回のマンモグラフィー検査を推奨した。一方、40代については医師と相談し、利益と不利益を比較したうえで受診を判断すべきだとしている。これに対し、米予防医療作業部会(USPSTF)は近年、従来の「50歳開始」から方針を変更し、40歳からの隔年検診を推奨している。さらに米国がん協会(ACS)は45~54歳は毎年検査を受けるべきだとしつつ、40歳から始める選択肢も認めている。55歳以上は隔年でも毎年でもよいとしている。

こうした違いの背景には、乳がん検診の「利益」と「不利益」をどう評価するかという問題がある。マンモグラフィーは早期発見によって死亡率低下に貢献してきた一方、偽陽性による不要な再検査や生検、精神的負担などのリスクも伴う。特に40代では乳がん発症率が50代より低いため、「検診による利益が不利益を大きく上回るとは言い切れない」とする専門家もいる。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のキャロリン・クランドール(Carolyn Crandall)医師は、「40代にも利益はあるが、そのバランスはより微妙だ」と指摘する。

一方で、乳がんは米国女性におけるがん死亡原因の上位を占め、年間32万人以上が新たに診断される。治療法の進歩によって死亡率は低下しているものの、患者数そのものは増加傾向にある。こうした現状から、「できるだけ早く検査を始めるべきだ」との考え方も根強い。

議論をさらに複雑にしているのが、「高濃度乳房(デンスブレスト)」の存在である。40歳以上の女性の約半数は乳腺濃度が高く、マンモグラフィー画像で腫瘍を見つけにくいとされる。また、デンスブレスト自体が乳がんリスクをわずかに高めることも分かっている。このため、一部の医師は超音波検査やMRI検査の追加を提案するが、どの女性に追加検査が本当に有効なのかについては結論が出ていない。ACPは代替手段として、より立体的に撮影できる3Dマンモグラフィーの活用を推奨している。

現在、研究者たちは年齢だけでなく、遺伝子情報や家族歴、生活習慣、乳房密度などを組み合わせた「個別化検診」の実現を目指している。米国で行われた大規模研究「WISDOM試験」では、女性を低リスクから高リスクまで分類し、それぞれに異なる検診頻度を適用した。その結果、リスクに応じた検診は一律の毎年検診と同程度の効果を示したという。さらに人工知能(AI)を活用し、マンモグラフィー画像から将来の発症リスクを予測する技術開発も進んでいる。

専門家らは、現時点では「万人に共通する最適解はない」と口をそろえる。家族に乳がん患者がいるか、出産経験や年齢、健康状態などを踏まえ、医師と相談しながら受診時期を決めることが重要だとしている。そのうえで、ACSのロバート・スミス(Robert Smith)氏は「検診は継続的に受けてこそ効果を発揮する」と強調している。

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