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モルディブ・イタリア人ダイバー事故、捜索中の隊員1人が減圧症で死亡

モルディブ国防軍によると、捜索に参加していた軍曹が潜水任務後に体調不良を訴え、首都マレの病院に緊急搬送。その後、減圧症により死亡が確認された。
2026年5月15日/モルディブ、イタリア人ダイバー5人が死亡したバア環礁、沿岸警備隊の巡視艇(AP通信)

インド洋の島国モルディブでイタリア人ダイバー5人が死亡した事故を巡り、当局は16日、捜索活動を一時中断した。捜索に加わっていたモルディブ軍のダイバー1人が任務中に死亡したためで、当局は安全確保を優先し、作戦の見直しを進めている。

事故は14日、中部のバア環礁周辺で発生した。イタリア外務省によると、イタリア人5人のグループは海中洞窟の探索中に遭難した。この洞窟は水深約50メートルに位置し、複雑な通路で複数の空間がつながる構造になっているという。一般的なレジャーダイビングの水深を大きく超える危険な環境だったとみられている。

5人のうち1人の遺体は14日に洞窟の入口付近で発見された。死亡したのはダイビングインストラクターのベネデッティ(Gianluca Benedetti)さんで、残る4人は現在も行方不明となっている。モルディブ当局は軍や警察のダイバーを投入して捜索を続けていた。

モルディブ国防軍によると、捜索に参加していた軍曹が潜水任務後に体調不良を訴え、首都マレの病院に緊急搬送。その後、減圧症により死亡が確認された。減圧症は深海から急浮上した際に体内に窒素の気泡が発生することで起きる症状で、重症化すると命に関わる。政府報道官は声明で、「これは極めて危険な任務であり、隊員の安全を確保する必要がある」と述べ、捜索を一時中断すると明らかにした。

現場周辺では悪天候が続き、視界不良や強い海流が捜索を難航させている。海中洞窟内部は狭く入り組んでおり、捜索隊は酸素ボンベの残量や減圧時間を管理しながら慎重に進入していた。しかし、隊員の死亡を受けて、当局は現在の装備や体制では危険性が高すぎると判断した。

今後は海外から専門家を招き、より安全な方法を検討する。地元テレビ局によると、フィンランドから洞窟潜水の専門家3人がモルディブ入りする予定で、特殊装備を用いた新たな捜索計画が協議されているという。

行方不明者の中にはイタリア・ジェノバ大学の研究者も含まれていた。ジェノバ大学によると、海洋生態系や気候変動の影響を調査するためモルディブを訪れていたが、事故が起きた潜水自体は公式研究活動ではなく、私的なダイビングだったとしている。

洞窟潜水は通常のスキューバダイビングより危険性が高いことで知られる。閉鎖空間のため緊急時に即座に浮上できず、濁った水中では方向感覚を失いやすい。専門家は水深50メートル級の潜水には高度な訓練と特殊機材が必要だと指摘している。

モルディブ政府は事故原因の調査を進めるとともに、5人が利用していた観光船の営業許可を停止した。イタリア政府もモルディブ当局と連携し、行方不明者の捜索と遺体収容に向けた支援を続けている。

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