スイス「中立政策の憲法明記」国民投票、3分の2が反対=世論調査
スイスでは中立政策をめぐる議論が続いているが、今回の調査結果は、国際情勢の変化に合わせて一定の外交・安全保障上の柔軟性を維持すべきだと考える国民が多いことを示している。
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スイスで9月27日に行われる国民投票を前に、同国の中立政策をより厳格に定義する憲法改正案が、国民の支持を得られず否決される可能性が高まっている。8月19日に公表された世論調査では、回答者の3分の2が提案に反対すると回答した。スイスでは中立政策をめぐる議論が続いているが、今回の調査結果は、国際情勢の変化に合わせて一定の外交・安全保障上の柔軟性を維持すべきだと考える国民が多いことを示している。
投票対象となるのは、右派のスイス国民党(SVP)が支持する「中立性を守る」イニシアチブだ。提案は憲法に「永世かつ武装した中立」を明記し、他国間の紛争に加わらないことを原則として定める。さらに、国連安全保障理事会が決定した場合を除き、紛争当事国に対する経済制裁を科すことを禁止し、北大西洋条約機構(NATO)との協力にも制限を設ける内容となっている。
現在のスイス憲法には、中立の具体的な範囲を固定的に定めた規定はない。スイスは長年、中立国として軍事同盟への参加を避け、国際紛争では直接的な軍事介入を控えてきた。一方、ロシアによるウクライナ侵攻後には、欧州連合(EU)などに歩調を合わせてロシアへの経済制裁を導入し、NATOとの訓練など安全保障面での協力も強めている。これが、伝統的な中立政策からの逸脱だとして右派勢力などから批判されてきた。
今回の調査は複数の地元メディアが共催し、1万3154人が回答した。中立性を厳格化する提案について、62%が反対し、賛成は32%にとどまった。支持しているのは主としてSVPの支持者で、他の主要政党の支持層では反対が優勢となった。特に中道右派の自由民主党(FDP)などは、厳格な中立政策を憲法に盛り込めば、国際法違反への対応や国際社会との協調に支障が生じると懸念している。
反対派は経済制裁まで禁じれば、ロシアのように国際秩序を脅かす国に対してスイスが対応する余地を失うと主張する。また、NATOとの協力を制限すれば、欧州の安全保障環境が大きく変化する中でスイスの防衛力や危機対応能力を弱めかねないとの見方もある。一方、提案を支持する側は、制裁や軍事同盟との接近によってスイスが紛争の一方に加担することを避け、歴史的に培ってきた中立国としての立場を明確にする必要があると訴えている。
政府は提案に強く反対しており、中立を硬直的に定義することは国の外交政策や安全保障政策の選択肢を狭めるとしている。最終的な判断は9月27日の国民投票に委ねられる。
今回の世論調査通りに否決されれば、スイスは中立政策そのものを維持しながらも、国際情勢に応じて制裁や安全保障協力を行う現在の柔軟な運用を続けることになる。
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