スウェーデン、不法移民の取り締まり強化へ、公務員に通報義務付け
人権団体や研究者からは「社会に恐怖を生み出す」として懸念の声が上がっている。
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スウェーデン議会は15日、滞在資格を持たない移民を発見した場合、公共部門の職員に警察への通報を義務付ける法案を可決した。移民政策の厳格化を進める政府の方針を反映したもので、不法滞在者の把握と送還を強化する狙いがある。一方で、人権団体や研究者からは「社会に恐怖を生み出す」として懸念の声が上がっている。
法案は賛成174票ー反対172票で可決された。法案では税務当局や雇用関連機関、社会保険機関、刑務所・保護観察当局などの職員が、接触した人物に合法的な滞在資格がないと判断した場合、警察へ報告することが義務付けられる。クリステション(Ulf Kristersson)首相は不法滞在者の帰国や送還を円滑に進めるためには新たな手段が必要と説明している。
一方、法案審議の過程では大きな反発が起きた。教育関係者や医療従事者らは通報義務が導入されれば移民が学校や病院を避けるようになり、社会的な孤立や健康被害を招くと主張した。その結果、教師、医師、看護職、ソーシャルワーカーなどは適用対象から除外された。それでも、移民支援団体は「行政機関全体への信頼が損なわれる」と警告している。
反対派は特に、子どもや家族への影響を問題視している。専門家はたとえ医療従事者が通報義務の対象外であっても、出生届などを通じて情報が税務当局に渡れば、結果的に不法滞在の親が当局に把握される可能性があると指摘する。そのため、妊婦や子どもを抱える家庭が医療機関との接触を避ける事態も懸念されている。
スウェーデンでは近年、移民受け入れ政策の見直しが進んでいる。2022年に発足したクリステション政権は移民流入の抑制や犯罪対策を重要課題に掲げており、滞在資格や市民権取得の要件厳格化などを相次いで打ち出してきた。今回の通報義務法もその一環と位置付けられている。
欧州で同様の制度を導入している国は多くないが、ドイツでは一部行政機関に通報義務が課され、イギリスでも過去に移民当局による医療情報の利用が問題となった。こうした事例では、不法滞在者が医療や行政サービスの利用を控える傾向が報告されている。今回の法改正をめぐっても、移民管理の強化と人権保護の均衡をどう図るかが論点となっている。
