SHARE:

アイルランドの犯罪グループ首領、UAEから送還、裁判へ

キナハンを乗せたアイルランド空軍機は9日夕、ダブリン郊外の軍用空港に到着した。
アイルランドの海岸(Getty Images)

アイルランドの犯罪グループ「キナハン・オーガナイズド・クライム・グループ(KOCG)」の指導者とされるダニエル・キナハン(Daniel Kinahan、49歳)容疑者が9日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイからアイルランドに移送され、首都ダブリンに到着した。UAEの裁判所が身柄引き渡しを阻止する訴えを退けたことを受けた措置で、キナハンは組織犯罪グループを指揮した罪に問われる見通しだ。

ロイター通信によると、キナハンを乗せたアイルランド空軍機は9日夕、ダブリン郊外の軍用空港に到着した。今後はダブリンの特別刑事裁判所に移送され、その後、刑務所に収容される予定だ。特別刑事裁判所は組織犯罪やテロ事件などについて、通常の裁判所では適切な司法手続きが確保できないと検察側が判断した場合に開かれる。陪審員は置かれず、3人の裁判官が審理を担当する。

キナハンをめぐっては、アイルランドを拠点とする国際的な麻薬密輸・資金洗浄ネットワークを運営していたとの疑いが持たれている。米財務省によると、KOCGはコカインや大麻など大量の違法薬物や銃器を欧州に密輸し、合法企業を装った事業網を利用して犯罪収益を洗浄していたとされる。キナハンはドバイを拠点に組織運営を担い、南米から大量のコカインを調達し、アイルランドへの流通やイギリスへの密輸を指示していたと米当局は主張している。

KOCGは2016年以降、アイルランドやスペインで別の犯罪組織と抗争を繰り広げ、多数の殺人事件につながったとされる。米財務省は2022年、キナハンらを制裁対象に指定した。イギリスでは同組織の幹部が2022年、イギリスへの麻薬密輸を指揮したとして21年の禁錮刑を言い渡されている。

今回の身柄引き渡しをめぐり、アイルランドでは警察や軍、刑務当局を動員した大規模な警備態勢が敷かれた。背景には、キナハン一派と別の犯罪組織との抗争が続いているとの懸念がある。

アイルランド警察はイギリス、スペイン、米国当局とも連携し、長年にわたりKOCGを追ってきた。今回の送還は国境を越えて活動してきた犯罪ネットワークの実態解明につながる可能性がある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします