◎スペインを含むEU加盟27カ国は欧州委員会の決定に基づき、ガスの使用量を15%削減する取り組みを進めている。
2022年7月29日/スペイン、首都マドリード、ノーネクタイで記者会見に臨むサンチェス首相(Getty Images/AFP通信)

スペインのサンチェス(Pedro Sanchez)首相は29日、民間と公共部門で働くすべての労働者にネクタイを脱ぎ捨てるよう呼びかけた。

スペインを含むEU加盟27カ国は欧州委員会の決定に基づき、ガスの使用量を15%削減する取り組みを進めている。

サンチェス氏は記者団に、「ロシア産天然ガスへの依存度を下げるためには緊急省エネ政策が必要である」と語った。

首都マドリードの29日の最高気温は36度、セビリアは39度に達した。

欧州ではここ数週間、アフリカ北部から流れ込む熱波の影響で異常な高温が続いている。

サンチェス氏は閣僚、公務員、民間企業の労働者にネクタイを外すよう訴えた。「私もノータイです。首元を解き放てばエアコンの稼働率を抑え、省エネにつながります...」

西欧で閣僚にノータイを推奨した国はスペインが初めてとみられる。

日本は2011年にクールビズを導入し、サラリーマンのノーネクタイと半袖シャツが定着した。

紳士の国イギリスの庶民院(下院)は今年、議会内でのみジャケットを脱ぐことを許可した。

サンチェス政権は現在、省エネ推進法案の準備を進めている。地元メディアによると、この法案は来週議会で審議される予定。

法案にはエアコンの稼働率を抑えるための取り組みなどが含まれる。フランス政府は今週、企業に入り口ドアを閉めておくよう命じる規則を施行した。

この措置はEUの執行機関である欧州委員会が策定した計画を反映している。同委員会は再生可能エネルギーを推進し、欧州のロシア産天然ガスの依存度を下げる取り組みに2100億ユーロの予算を割り当てている。

ドイツ北部ニーダーザクセン州ハノーバーは今週、ガスの使用量を減らす取り組みのひとつとして、公共施設やプールでの温水使用を禁じた。

ここ数週間の異常な高温とウクライナ侵攻は西欧の指導者に、「エネルギー消費は可能な限り抑えるべき」と再考させた。

スペイン国営RTVEテレビによると、高温が原因とみられる死者はこの2週間で500人を超えたという。

スペインの多くのSNSユーザーがサンチェス氏のノータイを称賛した。あるツイッターユーザーは「ジュケットも脱ぎ捨てるべきだ」と投稿している。

国連によると、地球の現在の平均気温は産業革命時に比べると1.1度上昇しており、温室効果ガスの排出量を大幅に削減しない限り、気温の上昇は続くという。

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