◎スペインはリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性や身体のことを自分で決め守ることができる権利)において、欧州で最も進歩的な国のひとつになった。
2023年1月27日/スペイン、首都マドリードの議会議事堂、モンテロ平等相(Manu Fernandez/AP通信)

スペイン国会は16日、10代の中絶とトランスジェンダーの権利を拡充する法案を可決し、労働基準法も合わせて改正した。

労基法改正により、スペインは欧州で初めて公共と民間企業に「有給生理休暇」の付与を義務付ける国となった。

新法の制定を推し進めたモンテロ(Irene Montero)平等相はSNSに声明を投稿。女性・LGBTQ+(性的少数者)・トランスジェンダーの権利拡充を祝った。

新法により、16歳と17歳の少女は保護者の同意を得ずに中絶手術を受けられるようになる。また、学校や刑務所で生理用品が無料提供されるようになり、保健所は避妊薬やアフターピルなどを無料提供する予定だ。

有給生理休暇は国内の企業に付与を義務付ける。

さらに、新法は国公立病院で中絶を行う権利についても明記している。地元メディアによると、スペインの中絶手術の80%以上が民間のクリニックで行われているという。

国公立病院では宗教上の理由で中絶手術を拒否する医師が多いようだ。ただし、新法施行後も文書で中絶に反対すると表明していれば、手術を強制されることはない。

この新法は2010年に可決された中絶法に基づいている。スペインはリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性や身体のことを自分で決め守ることができる権利)において、欧州で最も進歩的な国のひとつになった。

憲法裁判所は先週、妊娠14週目以降の中絶に異議を唱える右派政党の申し立てを退けた。

トランスジェンダーの権利を拡充する法律も進歩的と評価されている。この新法により、16歳以上のスペイン国籍保有者は医師の診断を受けずに法的に性別を変更できるようになる。

12〜13歳の未成年者が変更するには裁判所、14〜16歳の場合は両親または法定後見人の許可が必要だ。

これまで性別を変更する際は複数の医師の診断が必要だった。

新法はLGBTQ+の人々に対する「転向療法」も禁じ、体外受精治療を受ける女性への公的支援を拡充する。

サンチェス政権は現在、モンテロ氏が推進した性的同意に関する法律で非難を浴びている。

これはレイプ被害を防止するために起草されたものだが、性犯罪者に悪用されてしまった。法律は「口頭での同意」を可としているため、性的暴行が疑われる事案で起訴された個人が「口頭で約束した」と主張する事態を引き起こしたのである。

サンチェス政権は年内に予定されている議会選に向け、改正案を準備している。

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