◎多くの家庭や企業が電気代やガス代の支払いに苦労している。
2022年3月28日/スペイン、首都マドリードの市街地(Paul White/AP通信)

スペインのサンチェス首相は28日、ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰で影響を受けた家庭や企業に対し、直接支援と減税に60億ユーロ(約8,100億円)、融資で100億ユーロ(約1兆3,600億円)相当の緊急経済対策を準備中であると明らかにした。

サンチェス首相はマドリードで開催された企業団体との会議の中で、「この対策は経済成長と雇用を守ることを目的としており、来週の閣議後、詳細を発表する」と説明した。

首相の報道官によると、対策には高騰の影響を強く受けている部門を保護する措置も含まれているという。

スペインを含む欧州諸国は昨年からエネルギー価格の高騰に悩まされており、多くの家庭や企業が電気代やガス代の支払いに苦労している。先月の侵攻開始後、ガソリン価格の高騰に悩まされていたスペインの運輸・農業部門は政府に支援を求めていた。

他の欧州諸国も同様の支援を準備している。

EU27カ国の首脳は先週、記録的な価格高騰に悩まされているスペインとポルトガルに特別な免除を与える妥協案に到達した。

サンチェス首相の社会党は天然ガスの取引価格に上限を設ける「例外的かつ一時的な業界への介入」を計画しており、これによりガスと電気代を大幅に引き下げることができると述べている。

この措置は6月末まで実施される予定で、特定の企業や団体が不当な利益を得ないよう、施行前にEU当局の監査を受けることが決まった。

サンチェス首相は会見の中で、「政府の援助で燃料はリッターあたり0.20ユーロ(27円)割引され、その費用の4分の3を政府、残りはガス会社が負担する」と発表した。

また、労働法の改正も予定されており、これにより企業は雇用を維持しながらエネルギー価格の問題に対応できるようになるという。

一般家庭に対しては今後3ヶ月間、電気代やガス代の値上がり分を政府が負担する。また給付金(失業保険など)を受け取っている市民への支援も強化される予定。

地元メディアによると、現在何かしらの支援を受けている世帯は約200万世帯で、この措置が導入されると支援を受ける世帯数は260万に増える見込みだという。

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