追い詰められるスペイン首相、与党の「汚職疑惑」連発で窮地に
問題となっているのは、政府関係者や党幹部らに対する汚職、利益供与、職権乱用などの疑惑である。
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スペインのサンチェス(Pedro Sánchez)首相が相次ぐ汚職疑惑によって政権発足以来最大の危機に直面している。2018年に保守政権の汚職問題を批判して政権を奪取したサンチェス氏だったが、現在は自身が率いる与党・社会労働党(PSOE)と側近らを巡る複数の捜査が進み、求心力の低下が鮮明になっている。
問題となっているのは、政府関係者や党幹部らに対する汚職、利益供与、職権乱用などの疑惑である。捜査当局はコロナウイルス流行期の医療用品調達や公共契約に関連した不正の可能性を調べており、かつてサンチェス氏の側近として知られた元運輸相や党幹部らが捜査対象となっている。さらに、首相の妻であるゴメス(Begoña Gómez)夫人や弟にも別の疑惑が持ち上がり、政権中枢にまで疑念の目が向けられている。サンチェス氏本人は不正への関与を否定しているものの、政治的打撃は避けられそうにない。
加えて、社会労働党の重鎮であるサパテロ(José Luis Rodríguez Zapatero)元首相に対する捜査も波紋を広げている。警察はサパテロ氏の事務所を捜索し、高級腕時計や宝飾品などを押収した。捜査は政府系支援金や企業との不透明な取引に関する疑惑を中心に進められており、長年スペイン左派政治を支えてきた人物まで疑惑の対象となったことで、社会労働党への信頼は大きく揺らいでいる。
こうした状況を受け、最大野党・国民党(PP)はサンチェス氏の辞任を求め、攻勢を強めている。世論調査でもPPが社会労働党を上回る結果が相次ぎ、首相への批判が拡大している。ただし、仮に政権交代が起きた場合、極右政党ボックス(VOX)との連立が必要になる可能性が高く、有権者の間では複雑な反応もみられる。そのため、現時点で不信任案提出の動きは本格化していない。
サンチェス氏はこれまで、経済成長の維持や欧州連合(EU)内での積極的な外交姿勢によって国際的な評価を得てきた。しかし国内ではカタルーニャ独立派との協力や恩赦法を巡る論争に加え、汚職疑惑が重なったことで政権運営への不満が高まっている。近年は党内でのセクハラ問題や不祥事も相次ぎ、「改革と透明性」を掲げてきた政権の看板に傷が付いたとの指摘もある。
総選挙は2027年までに実施される予定だが、サンチェス氏は任期満了まで政権を維持する姿勢を崩していない。一方で、捜査がさらに拡大した場合には党内外から退陣圧力が強まる可能性がある。かつて汚職追及によって政権を握ったサンチェス氏が、今度は自らの陣営を巡る疑惑によって窮地に立たされており、スペイン政界は大きな転換点を迎えている。
