独クリスマス市車突入事件、サウジ出身の51歳被告に終身刑
事件は2024年12月20日、クリスマスを前に多くの買い物客や家族連れでにぎわうザクセン・アンハルト州マクデブルクのクリスマスマーケットで発生した。
.jpg)
ドイツ中部ザクセン・アンハルト州のクリスマス市に車が突っ込んだ事件について、6人を死亡させたとして殺人罪などに問われたサウジアラビア出身の精神科医タレブ・A(Taleb A、51歳)被告に対し、裁判所は26日、終身刑を言い渡した。判事は極めて悪質な犯行であるとして、通常は15年経過後に可能となる仮釈放の対象にはならないとの判断を示した。事件はドイツ社会に大きな衝撃を与え、移民政策や治安対策を巡る議論を加速させた象徴的な事件として記憶されている。
事件は2024年12月20日、クリスマスを前に多くの買い物客や家族連れでにぎわうザクセン・アンハルト州マクデブルクのクリスマスマーケットで発生した。被告はレンタルしたBMWを会場内へ進入させ、約1分間にわたり群衆の中を走行した。この襲撃で9歳の男児を含む6人が死亡、300人以上が負傷した。
裁判では、被告が単独で計画的に犯行を実行したと認定された。検察は被告が行政機関との法的争いや自身の訴えが受け入れられなかったことへの不満を募らせ、社会への報復として事件を起こしたと主張した。被告は公判中、自ら運転して群衆へ突入したことは認めたものの、殺意については否定する場面もあった。しかし判事は車の速度や走行経路などから強い殺意があったと判断し、6件の殺人罪と多数の殺人未遂罪の成立を認めた。
被告は2006年にドイツへ渡り、後に難民認定を受けて永住権を取得した。かつてはイスラム教から離れた公言し、反イスラム的な発言や極右勢力に共感を示す投稿をインターネット上で繰り返していたことも明らかになった。裁判では自己愛性パーソナリティ障害と診断されたものの、刑事責任能力は認められた。公判中には大声で判事を非難したり、ハンガーストライキを行ったりするなど混乱を招く行動も目立ち、退廷を命じられたこともあった。
事件後には、サウジ当局が2023年の時点で被告に関する警告をドイツ側へ伝えていたことも明らかになったが、具体的な危険性を示す情報ではなかったとされる。警察や治安機関の情報共有の在り方についても検証が進められている。また、多数の被害者や遺族、弁護士が参加したため、裁判は特設法廷で厳重な警備の下で行われた。今回の判決は被害者や遺族に一定の区切りをもたらす一方、移民受け入れ政策と安全保障をどう両立させるかという課題をドイツ社会に突き付けるものとなった。
