◎フィンランドとスウェーデンは今週、NATOに加盟を申請した。
2022年5月1日/フィンランドの天然ガスプラント(Getty Images/AFP通信)

フィンランドの国営ガス会社ガスムは20日、ロシア産天然ガスの供給が現地時間21日午前7時に停止すると発表した。

フィンランドを含む欧州諸国はロシア産エネルギーのルーブル建てを拒否している。

ロシアはポーランドとブルガリアへの天然ガス供給も先月末に停止している。

プーチン大統領は「非友好的」な国のエネルギー企業に対し、国営ガスプロムバンクに2つの口座を開設し、1つに契約で定められたユーロまたはドル、もう1つをルーブル用として使用し、必要な支払い手続きを行うよう命じている。

イタリアのエネルギー企業は今週、ユーロとルーブル口座を開設する手続きを開始すると発表した。

EUの執行機関である欧州委員会は加盟国に対し、契約書に記載された通貨で支払いを行い、その後、支払い手続きが完了したことを正式に通知すれば、EUの対ロシア制裁に違反しないとしている。ルーブル口座を開くと違反である。

このため、各国はどう対処すべきか決めかねている。

一部の専門家は、「欧州委員会の姿勢はロシアが加盟27カ国の結束を崩そうとしていることを考えると、曖昧で優柔不断」と指摘している。

ガスム社のウィルヤネン(Mika Wiljanen)CEOは供給停止について、「非常に遺憾」と懸念を表明する一方、「今後数ヶ月はすべての顧客にガスを供給できるだろう」と説明した。

フィンランド国営放送(YLE)によると、2020年の同国の総エネルギー消費量における天然ガスの割合はわずか6%に過ぎない。そのガスのほとんどがロシアから輸入されている。

ガスム社によると、ロシア国営ガスプロム社は先月、今後の支払いはユーロではなくルーブルで行わなければならないと通知したという。

フィンランドとスウェーデンは今週、NATOに加盟を申請した。ロシアは両国の加盟申請を問題ないとする一方、NATOがそこに軍事インフラを設置すれば「結果が伴う」と警告している。

ヘルシンキに拠点を置くフィンランド国際問題研究所は今回のガス停止について、「ロシアは北欧諸国のNATO加盟阻止より、エネルギーのルーブル建てに焦点を当てている」と指摘している。「ロシアはエネルギーを兵器化しています...」

フィンランド政府は20日、フィンランド湾の浮体式液化天然ガス(LNG)ターミナルの10年リース契約を締結した。また、北欧諸国とエストニアの海岸沿いにもLNG基地を構築する計画を発表した。

フィンランドとエストニアは浮体式LNGターミナルを共同レンタルしている。

地元メディアによると、この船だけでエストニアの天然ガス供給をすべてフォローできるという。またフィンランドとエストニアを結ぶガスパイプラインが完成すれば、フィンランドはロシアの代わりにバルト三国にガスを供給できるようになる。

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