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米国務長官、NATO外相会合出席へ、対米不信高まる中

懸念の中心にあるのはトランプ大統領の対同盟政策である。
2023年4月4日/ブリュッセルのNATO本部(Geert Vanden Wijngaert/AP通信)

米国のルビオ(Maro Rubio)国務長官がスウェーデンで5月22日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)外相会合に出席するため欧州入りする。今回の会合は欧州各国の間で高まる米国への不信感や安全保障をめぐる懸念を背景に、重要な意味を持つものとなっている。

懸念の中心にあるのはトランプ(Donald Trump)大統領の対同盟政策である。トランプ政権はこれまで、NATOへの関与に消極的とも受け取られる発言や方針を繰り返しており、同盟の信頼性に疑問符がついている。特に最近では、欧州駐留米軍の一部削減方針が突然発表され、加盟国に衝撃を与えた。5000人規模の兵力削減が明らかになり、ポーランドやドイツへの部隊展開計画にも影響が出ている。

さらに、欧州側の不安を増幅させているのが中東情勢、とりわけイランをめぐる米国の対応である。トランプ政権はイランに対して強硬姿勢を取りつつも、軍事行動の判断が流動的で、同盟国との協調が十分でないとの批判が出ている。実際、米国が対イラン軍事作戦を検討した際、欧州諸国の多くは慎重姿勢を示し、足並みの乱れが顕在化した。

こうした状況の中でルビオ氏の訪欧は、同盟関係の立て直しを図る狙いがあるとみられる。ルビオ氏はこれまで、NATOの重要性を強調し、欧州との協力維持に前向きな姿勢を示してきた。今回の会合でも、防衛費の増額や北極圏の安全保障などを含む幅広い議題について協議し、米国の関与継続を印象づけることが期待されている。

一方で、トランプ政権内では欧州に対し自立的な防衛強化を求める声も強く、米軍の関与縮小を前提とした戦略転換の兆しも指摘されている。欧州各国は防衛費増額を進めているものの、短期間で米国依存から脱却することは難しく、同盟の将来像をめぐる議論は一層複雑さを増している。

今回のNATO外相会合はロシア情勢やイラン問題に加え、米欧関係そのものの信頼性が問われる場となる。ルビオ氏がどこまで同盟国の不安を払拭できるかが、今後の西側安全保障体制の行方を左右する重要な試金石となりそうだ。

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