◎ロシアの特別軍事作戦はまもなく開戦から10カ月を迎える。
2022年12月20日/ロシア、首都モスクワ、プーチン大統領(Mikhail Metzel/Pool/AP通信)

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は21日、ウクライナ戦争の責任を負うつもりはなく、ロシアとウクライナは悲劇を共有していると主張した。

プーチン氏は軍高官の前で演説し、「ロシアはウクライナを兄弟国と見なし続けている」と語った。

ロシアの特別軍事作戦はまもなく開戦から10カ月を迎える。

米英政府高官はこの戦争による両軍の死者を最大20万人と推定している。

プーチン氏は前線から遠く離れたモスクワで、「この戦争は第三国の政策がもたらしたものだ」と主張し、米国とNATOを非難した。

西側はNATOの拡大が侵攻の発端というロシアの主張を否定している。

プーチン氏は演説で、「欧米がウクライナをはじめとする旧ソ連構成国を洗脳している」と主張した。

またプーチン氏は何年も前からウクライナとより良い関係を築こうと努力したが、欧米に邪魔され、うまくいかなかったと語った。「私たちはウクライナに多くを融資し、安価で質の良いエネルギーを供給してきましたが、欧米のプロパガンダに阻止されました...」

プーチン氏はNATOを念頭に置き、「ロシアは兄弟と殺し合いをさせられている」と主張した。

西側諸国は第二次大戦後のソ連の拡大に対抗するためにNATOを創設した。ロシアは長年、NATOが旧ソ連構成国を「飲み込み」、ロシアの安全保障を脅かそうとしていると主張してきた。

2014年に親ロシアのヤヌコヴィッチ(Viktor Yanukovich)ウクライナ大統領が抗議デモに屈した後、ロシアと西側の緊張は劇的に高まった。

プーチン氏は演説で、「私たちを非難できる者はいない。我々は常にウクライナ人を兄弟、ウクライナを兄弟国とみなし、今もそう思っている」と語った。「今起きていることを残念に思いますが、我々の責任ではありません」

ロシア軍は10月10日からエネルギーインフラへの攻撃を開始し、1000発以上のミサイルとイラン製自爆ドローンをウクライナ領内に発射した。

ウクライナ大統領府によると、各地の停電は解消しつつあるものの、それでも数百万人が計画停電の影響を受けているという。

プーチン氏は特別軍事作戦を2023年まで継続すると宣言した。

ロシアは2月の開戦直後、侵攻に参加するのは職業軍人だけと約束した。

しかし、9月に予備役が動員され、銃を持ったことすらない学生や老人が戦地に送り込まれた。

ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は21日、ロシアの兵役義務年齢を引き上げると提案した。

現行法の兵役義務対象は18歳~27歳だが、ショイグ氏はこれを21歳~30歳に引き上げたいと提案している。

またショイグ氏はウクライナ南部の占領地ベルジャンスクとマリウポリの両港湾都市に基地を建設する計画も合わせて発表した。

しかし、ロシア軍は南部ヘルソン市で屈辱の敗北を喫し、防衛線をドニエプル川東岸まで押し下げ、ウクライナ軍に押されているように見える。

ウクライナのゼレンスキー(Volodmyr Zelensky)大統領は21日、米ワシントンD.C.でバイデン(Joe Biden)大統領と会談し、連邦議会で演説する予定だ。

米政府はゼレンスキー氏の到着に合わせて新たな軍事支援を発表広域防空用地対空ミサイルシステム「パトリオット」を含む18億5000万ドル規模の兵器や装備などを供与すると表明した。

2022年12月21日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、バイデン大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(Patrick Semansky/AP通信)
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