◎ロシア軍と親ロシア勢力はルハンシク州におけるウクライナ軍最後の拠点とされるリシチャンスクを制圧し、同州を支配下に置いた。
2022年6月30日/トルクメニスタン、首都アシガバート、ロシアのプーチン大統領(Dmitry Azarov/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は4日、ウクライナ東部ルハンシク州リシチャンスクの完全制圧を称賛し、東部ドンバスに対する攻勢を維持するよう国防相に命じた。

ロシア軍と親ロシア勢力はルハンシク州におけるウクライナ軍最後の拠点とされるリシチャンスクを制圧し、同州を支配下に置いた。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は3日、リシチャンスク撤退を認めたうえで、ロシア軍に奪われた領土をすべて取り戻すと誓った。

プーチン氏はショイグ(Sergei Shoigu)国防相からリシチャンスク制圧の報告を受けると、作戦に関与した部隊に十分な休養を与え、別の部隊には作戦を維持させるよう命じた。

一方、ルハンシク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は4日、ロシア軍が同州に隣接するドネツク州への攻勢を強めるという見方を示した。

多くの専門家がロシア軍の次の標的をドネツク州と南部オデーサ州と予想している。ドネツク州はドンバス地方を構成する州のひとつで、ドネツク人民共和国の拠点がある。

南部オデーサ州はクリミア半島の西に位置し、ウクライナ最大の港がある。ここを奪われると、ウクライナは黒海に面する港をすべて失うことになる。

ガイダイ氏は英BBCニュースのインタビューの中で、「ルハンシク州の部隊は東部ドンバスに新たな防衛戦を設置した」と語った。

ガイダイ氏はルハンシク州の敗北を痛手と評したが、「ウクライナが被った損失のごく一部に過ぎず、負けが決まったわけではない」と述べた。「我々は同盟国の最新兵器を入手次第、ルハンシク州に戻ります」

ゼレンスキー氏は4日、「ウクライナ軍は西側の最新兵器の供与が増えたおかげで、リシチャンスクを含むルハンシク州を奪還できる」と語った。

ウクライナ当局によると、ロシア軍はドネツク州郊外のスラビャンスクへの砲撃を強化しているという。

一部の専門家は、ドネツク州は数カ月以内に完全制圧されると予想している。同州の分離主義国家であるドネツク人民共和国はロシア編入を目論んでいるとみられる。プーチン氏は2月24日の開戦直前に、ルガンスクとドネツク両人民共和国の独立を承認した。

多くの専門家が、両人民共和国が一気にロシア編入を進め、ロシア連邦の一部になれば、ウクライナはさらに厳しい戦いを強いられる可能性があると指摘している。

ロシア大統領府の報道官は以前、「国家存亡の危機に立たされた場合のみ、核兵器を使用する」と明言していた。

多くの専門家が、「ロシアはドネツクとルハンシク両州への攻撃をロシア領内への致命的な攻撃=国家存亡の危機とみなし、強力な兵器の使用に踏み切る可能性がある」と指摘している。

リシチャンスクから撤退した部隊を率いる隊長は4日、フランス・テレビジョンのインタビューに対し、「撤退は悔しいが、必ず戻ってくる」と語った。

ガイダイ氏はリシチャンスクの撤退について、「ロシア軍は大砲や弾薬の数で優位に立っているが、遠くから闇雲に町を破壊するだけで、そこに留まる意味はないと考えた」と述べている。

またガイダイ氏はルハンシク州の部隊はドネツク州の陣地に移動したと説明した。

西側諸国は兵器供与だけでなく、復興に向けた準備も進めている。

ウクライナのシュミハリ(Denys Shmyhal)首相は4日、ウクライナの復興計画について協議する会議(スイス・ルガーノ)に出席し、復興費用を7500億ドル(102兆円)と説明したうえで、その予算をロシア富豪から押収した資産で賄うよう提案した。

同会議に出席した欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、「ロシアはウクライナを弱体化させようとしているが、ウクライナはより強く、より近代的な国家になることができる」と述べた。

ウクライナ公共放送によると、ウクライナ軍はロシア軍から奪取した南部ズミイヌイ島に再びウクライナ国旗を掲げた。

防衛省・自衛隊/ロシアによるウクライナ侵略の状況(2022年6月28日時点)
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