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セルビア首都で反政府デモ、参加者と警察が衝突、負傷者も

抗議デモは当初、平穏に進んでいたが、夜に入ると大統領府周辺で緊張が高まり、一部の若者が警官隊に向けて瓶や石などを投げ込んだ。
2026年5月23日/セルビア、首都ベオグラード、デモ隊に備える機動隊員(ロイター通信)

セルビアの首都ベオグラードで23日、大規模な反政府デモが行われ、警官隊と一部の参加者が衝突した。デモ隊は解散総選挙の実施と、10年以上にわたり政権を維持してきたブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領の退陣を求め、市中心部の広場に集結した。ロイター通信によると、参加者は数万人に上り、地元当局は約3万4000人と報告している一方、主催団体は10万人規模との見方を示している。

抗議デモは当初、平穏に進んでいたが、夜に入ると大統領府周辺で緊張が高まり、一部の若者が警官隊に向けて瓶や石などを投げ込んだ。これに対し、警察は催涙ガスや閃光弾を使用して排除に乗り出し、混乱が広がった。内務省によると、少なくとも23人が拘束され、複数の警察官が負傷したという。

今回のデモの背景には、2024年11月に北部ノビサドの鉄道駅で発生した屋根崩落事故がある。この事故では6歳の少女を含む16人が死亡、政府の腐敗や公共事業のずさんな管理体制への批判が噴出した。以降、学生を中心とする抗議運動が全国に広がり、ブチッチ政権への不満が高まり続けている。参加者たちは「政府の手は血に染まっている」と書かれた赤い手形のシンボルを掲げ、政治改革を訴えた。

デモを主導する学生団体は法の支配の回復や公正な選挙の実施を要求している。すでに首相が辞任しているものの、抗議運動側は十分な責任追及が行われていないとして圧力を強めている。総選挙は2026年秋にも実施される見通しだが、野党や市民団体は政権によるメディア統制や警察権力の濫用を問題視してきた。

これに対し、ブチッチ氏は抗議デモを「過激派による暴動」と批判し、政府の正統性を強調した。欧州連合(EU)もセルビアの民主主義の後退に懸念を示し、政治情勢の不安定化がEU加盟交渉や経済支援に影響を与える可能性も指摘されている。セルビアでは2000年に大規模市民運動によってミロシェビッチ政権が崩壊した経緯があり、今回の抗議運動が政権にどこまで打撃を与えるか注目されている。

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