◎EUの高官はEU法優位の原則を否定したポーランドの判決はイギリスに続くEU離脱を引き起こす可能性があると強い懸念を表明した。
2021年10月7日/ポーランド、首都ワルシャワの裁判所前、右派政権の改革に反対する人々(Czarek Sokolowski/AP通信)

10月8日、EUの高官はEU法優位の原則を否定したポーランドの判決はイギリスに続くEU離脱を引き起こす可能性があると強い懸念を表明した。

フランスのクレマン・ボーヌ欧州外務大臣は、ポーランドの憲法裁判所の判決はEUに対する攻撃であると述べ、ルクセンブルグのジャン・アッセルボルン欧州外務大臣はポーランドの異議申し立てを「火遊び」と呼んだ。

ポーランドの憲法裁判所は7日、ポーランドの憲法はEU法より優先されると裁定し、EU法優位の原則を否定した。

判事はマテウシュ・モラヴィエツキ首相の訴えを認め、「ポーランドはEU加盟時、欧州司法裁判所に最高の法的権限を与えておらず、EU法優位の原則は適用されない」と述べた。

EU加盟国の首脳がEU法優位の原則に異議を唱えたのはこれが初めて。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はこの判決に懸念を表明し、EU法の完全性を保護するためにあらゆることをすると誓った。

保守的なポーランド政府は、最高裁判所と憲法裁判所を含む司法機関に与党「法と正義の統治党(PiS)」に忠実な個人を配置し、一部の最高裁判所判事は引退を強制された。欧州委員会と多くの国際機関は司法の独立性が損なわれたとPiSを非難したが、政府は憲法に基づいて新しい判事を任命したと主張した。

フランスのボーヌ欧州外務大臣は地元メディアのインタビューの中で、「ポーランドはEU加盟時のコミットメントを尊重する義務がある」と語った。

またボーヌ欧州外務大臣は、「ポレグジット(ブレグジットの造語)」を煽るフェイクニュースがポーランド国内で共有されたことについて、「ポーランドの国民はEU離脱を望んでいない」と強調した。最近の世論調査によると、回答者の約80%がEU加盟を支持したという。

モラヴィエツキ首相とPiSのヤロスワフ・カチンスキ議長は、ポーランドはEUにとどまると主張しているが、憲法裁判所の判決は支持した。

二人はポレグジットを煽るフェイクニュースを非難し、「国民の大多数はEU残留を支持している」と述べた。また二人は、ポーランドはEUに加盟したことで数十億ユーロの予算と新たなプロジェクトへの投資、そして関税のない単一市場へのアクセスを得ることができたと認めている。

一方、欧州理事会の元議長で、現在ポーランド議会の最大野党の党首を務めるドナルド・トゥスク議員は、憲法裁判所の判決に抗議するよう国民に呼びかけ、「カチンスキ議長はEU離脱作戦を本格的に開始した」と主張した。「与党はポレグジットを実現させるつもりです。私たちが行動しなければ、与党はゴールに向けて突き進むでしょう...」

モラヴィエツキ首相とカチンスキ議長はEU離脱を望まないと主張しているが、カチンスキ議長の盟友であるPiSのマレク・ススキ議員とリシャルト・テルレキ議員は反EU感情を煽っている。

ススキ議員は先月、EUの指導者を「占領者」と呼び、テルレキ議員は「(離脱した)イギリスはEUの独裁者に打ち負かされる可能性がある」と述べた。

一部の専門家は、「ポーランドはEU予算への出資額が得る額より多い場合、離脱の準備を進める可能性がある」と指摘した。「つまり、ポーランドはEU予算に支払う額より得る額を多くしろとEUに圧力をかけているのです...」

欧州委員会はポーランドのコロナウイルス回復計画(600億ドル規模)をまだ承認しておらず、今回の憲法裁判所の判決やLGBTQの権利を否定する動きは手続きの遅延につながる可能性があると示唆した。

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