◎労組はインフレを賃金に反映させるよう会社に求めている。
2022年8月19日/イギリス、ロンドン中心部ビクトリアのバス乗り場(Kirsty O'Connor/PAメディア/AP通信)

イギリスの地下鉄労働組合は19日、経営陣が賃上げなどの要求に応じなかったとして24時間ストを決行した。

BBCニュースによると、ストを知らなかった多くの外国人観光客がロンドンの地下鉄入り口で途方に暮れたという。

労組はインフレを賃金に反映させるよう会社に求めている。BBCによると、20日には別の鉄道労組がストを行う予定。

賃上げに反対している運航会社のロンドン交通局は19日、「怒れる鉄道・海事・運輸組合の組合員による雇用、給与、年金をめぐるストライキの影響で、ロンドンの地下鉄は機能不全に陥った」と声明を発表した。

同局の報道官はSNSに、「今日は大変な1日になるため、お客さまには地下鉄のご利用を控えるようお伝えしています」と投稿している。「ロンドンの地下鉄は現在、ほとんど運行しておりません」

清掃員、信号係、メンテナンス係の組合員数千人のストは18日に終了したものの、その24時間後には地下鉄労組のストが始まり、運行本数は5分の1に減少した。

地下鉄労組RMTの書記長はAP通信の取材に対し、「お客さまに迷惑をかけることは本当に心苦しい」と語った。「しかし、我々は立ち上がらなければならないのです。会社は組合員を奴隷か何かと勘違いしてます」

全国の鉄道労組はジョンソン政権が民間鉄道事業者に賃金を上げないよう圧力をかけていると非難している。会社は政府にコロナ関連の財政支援を受けた中で賃金を上げることは難しいと主張し、人員削減したいと応戦している。

シャップス(Grant Shapps)運輸相は19日、タイムズ・ラジオのインタビューで、「鉄道事業者に160億ポンド(約2.6兆円)も提供したのに、そうか、じゃあ次はストライキだ、と言い出すのは、国民に牙をむくようなものだ」と憤慨した様子で語った。

しかし、EU離脱の影響で労働者が不足し、この40年で最悪のインフレに直面している民間部門と公共部門の組合はさらなるストを準備している。郵便、弁護士、ブリティッシュ・テレコム、港湾組合は今月末にストを行うと発表した。

スコットランドでは18日、ゴミ収集業者とリサイクル業者が11日間のストを開始した。首都エディンバラでは芸術祭などのイベントで人出が大幅に増えると予想されており、街がゴミだらけになるという懸念が高まっている。

イギリスの先月のインフレ率は10.1%に達した。イングランド銀行(BOE)のアナリストは「景気後退は避けられず、今年後半のインフレ率は13%まで上昇する可能性がある」と予想している。

ロシアのウクライナ侵攻が欧州の原油・天然ガス供給に圧力をかける中、イギリスの平均的な家庭の燃料代はすでに50%以上上昇している。10月にはさらに上昇し、家庭の平均請求額(電気、水道、ガス)は年間3500ポンド(約57万円)に達すると予測されている。

2022年8月19日/イギリス、ロンドン中心部のビクトリア駅入り口(Kirsty O'Connor/PAメディア/AP通信)
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