◎スペイン保健省は30日、「患者3750人のうち120人が入院し、2人が死亡した」と報告した。
サル痘ウイルスのサンプル(Getty Images/AFP通信)

スペイン保健省は30日、サル痘による2人目の死者を確認したと発表した。

同省は死亡した個人の情報を明らかにしていない。最初の死者は29日に報告された。

アフリカ大陸以外で公式に死亡が確認されたのはこれが初めて。ブラジルでも29日に41歳の男性が死亡した。

スペイン保健省は30日に公表したレポートの中で、「患者3750人のうち120人が入院し、2人が死亡した」と報告している。2人が亡くなった日付は明らかにされていないが、「2人の若い男性が死亡した」としている。

世界保健機関(WHO)によると、サル痘は30日時点で約80カ国に拡大し、累計感染者数は2万1000人を超えた。29日の感染者数は約1万8000人だったため、1日で3000人以上増加したことになる。

アフリカ大陸ではナイジェリアとコンゴ民主共和国を中心に75人の死亡が疑われている。専門家によると、アフリカで蔓延しているサル痘は欧米のタイプより致死率が高いという。

スペイン保健省は30日、これまでに4298人の感染を確認したと報告した。これは欧州最多、米国に次いで多い。

同省によると、4298人のうち約3500人が男性と性交渉経験のある男性で、女性の感染者は64人に過ぎない。

スペイン政府は現在、EUのワクチン共同購入枠組みから配布された天然痘ワクチン5300回分の接種を進めている。保健省は声明の中で、「リスクの高いグループをカバーするためには、さらに多くのワクチンが必要」と述べている。

WHO欧州地域事務局は30日、サル痘の死者は今後増える可能性があると警告した。

同事務局のクルーゲ(Hans Kluge)事務局長の報道官は声明の中で、「サル痘は拡大を続けていることから、死者は増えると予想している」とした。

また報道官はほとんどの感染者が治療を受けることなく回復していると強調した。

サル痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつで、1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。医療専門家によると、この重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。死亡率は5~10%。潜伏期間は7日~21日、ほとんどの患者が10日~14日で発症する。

サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低く、感染者の体液や飛沫に触れると感染する恐れがある。また、それに感染した動物の肉(ブッシュミート)をしっかり過熱せずに食べても感染する可能性がある。

WHOは先週、世界各地で感染が報告されていることを受け、「公衆衛生上の非常事態」を宣言した。これでWHOが現在非常事態を宣言しているウイルスは「ポリオ」「コロナ」「サル痘」の3つとなった。

専門家によると、このウイルスは主に皮膚接触で感染するが、サル痘患者が使用したベッドシーツを介して感染した事例も報告されている。

主な症状は発熱、体の痛み、悪寒、疲労、じんましん。感染者の大半は自宅療養で回復している。

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