◎ステランティス社の2021年の純利益は2020年の約3倍、134億ユーロ(約1兆8300億円)だった。
2020年2月26日/フランス、パリ近郊、ステランティスのカルロス・タバレスCEO(Michel Euler/AFP通信)

フランスのマクロン大統領と極右候補のル・ペン党首は15日、大手自動車メーカー ステランティスのCEOが高額報酬を受け取ったことを「ショッキング」と表現し、一蹴した。

ステランティス社によると、カルロス・タバレスCEOの報酬は会社設立からわずか1年で1,915万ユーロ(約26億円)に達し、さらに3,200万ユーロ相当の株式と約2,500万ユーロの長期報酬が加わった。

ステランティス社は仏PSAとイタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併して誕生した多国籍自動車会社である。同社はフランス自動車メーカーの運命を好転させたタバレスCEOの手腕と報酬を擁護した。

多くの左派有権者から「金持ち大統領」「親ビジネス大統領」と批判されているマクロン大統領は15日、この報酬を「天文学的」と呼び、乱暴な役員報酬に上限を設定してはどうかと提案した。

マクロン大統領は地元ラジオ局フランスアンフォのインタビューの中で、「衝撃的だ」と語った。「人々はインフレ、燃料価格の高騰、生活苦を抱えており、このような金額を目にすることは決してありません。私は衝撃を受けています」

左派有権者の支持を集めたい極右のル・ペン党首は地元のBFMテレビに、「もちろん衝撃的だ」と語った。「社会を困難に追い込んだのはCEOたちですよ。なおさらショックだ」

またル・ペン党首は、「実体経済とかけ離れた報酬を削減する方法の一つは、おそらく労働者を株主として認めることです」と述べ、社員持ち株制度に言及した。

ステランティス社は13日にオランダで開催された株主総会の中で、CEOの役員報酬を52.1%ー47.9%で否決したが、同社はオランダの民法を引用し、「この投票は諮問的なものであり、法的拘束力はない」と説明した。

ステランティス社は声明の中で、「近々発表する2022年の役員報酬報告書の中でこの投票を含む問題をどのように処理したか説明する」と述べている。

また同社は、PSAを「破産寸前」から救ったタバレスCEOの手腕についても概説している。

「再生により、同社は19億ユーロを従業員に(2020年比で70%増)、つまり株主と同額を従業員に再分配することが可能になったのです。タバレスCEOの給与はGMやフォードよりも低く、会社の規模や業績から考えても妥当と考えています」

同社はボーイング、エクソン・モバイル、ゼネラル・エレクトリックなどの米国企業のCEOの報酬にも触れている。

ステランティス社の2021年の純利益は2020年の約3倍、134億ユーロ(約1兆8300億円)だった。

フランス政府はステランティス社の大株主のひとつで、公的投資銀行を通じて6.15%の株式を保有している。

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