◎ロンドン警視庁は殺害されたサラ・エバラード氏(33歳)の追悼集会をコロナウイルスの封鎖規則に従い、厳しく取り締まった。
◎イングランドは現在、厳格な封鎖制限下に置かれており、屋内外を問わず集会は禁止されている。
2021年3月13日/イギリス、ロンドン南部のクラッパム・コモン、殺害されたサラ・エバラード氏を追悼する集会(ゲッティイメージズ/ジャスティン・タリス/AFP通信)

英BBCニュースによると、ロンドン警視庁は殺害されたサラ・エバラード氏(33歳)の追悼集会をコロナウイルスの封鎖規則に従い、厳しく取り締まったという。

エバラード氏は3月3日に失踪し、12日に南部ケント州で遺体となって発見された。ロンドン警視庁は声明で、現職の警察官、ウェイン・クーゼンス容疑者(48歳)を誘拐と殺人で起訴したと発表した。

イングランドは現在、厳格な封鎖制限下に置かれており、屋内外を問わず集会は禁止されている。

追悼集会の主催者は法的リスクとコロナの感染拡大を懸念し、開始予定の数時間前に集会を中止すると発表したしかし、ロンドン南部クラッパム・コモンに集まった数百人の女性たちは、エバラード氏の死を悼み、女性の安全に関する話し合いを開始した。なお、ロンドン警視庁は安全な方法でエバラード氏を追悼するよう繰り返し呼びかけている。

参加者たちはスマートフォンのライトで花を咲かせ、「私たちは沈黙しません」という看板を掲げたが、警察は法を犯した一部の市民に手錠をかけ、連行した。

警察の取り締まりに抗議する女性の写真と動画はソーシャルメディアで共有され、広範な怒りを引き起こしている。

ロンドンのサディク・カーン市長は警視庁の取り締まりを非難した。

「クラッパム・コモンの取り締まりは受け入れられません。警察はコロナの規則に従い、取り締まりを行う責任があります。しかし、私が見た限り、対応が適切でなかったことは明らかです。私はロンドン警視庁の長官に説明を求めています」

コロナ規則に同意したと思われるプリティ・パテル内務大臣も、「警視庁に取り締まりの完全な報告を求めています」と述べた。

イングランドのロックダウン(完全封鎖、期間:1月~現在)

・不要不急の外出禁止。
・一部の例外を除き、学校および大学はオンライン授業に移行。
・保育園は継続。
・必須小売店(食料品店、薬局など)以外はすべて閉鎖。
・屋内外スポーツ施設は全て閉鎖。
・屋外の公園や運動場は営業可能。
・飲食店はデリバリーのみ許可される。ただし、アルコールの販売は禁止。
・アマチュアスポーツの活動は禁止。
・プレミアリーグなどのプロスポーツは継続。
・共同の宗教施設(礼拝所など)は営業可能。
結婚式などのイベントは原則禁止
・他の世帯の住民に会う場合、できるだけ早く、少なくとも5日間、不要な社会的接触を停止する。
・子供もガイダンスに従うこと。
・別居中の親とその子供の接触は免除される。
・違反者には200ポンド(28,000円)~最大6,400ポンド(900,000万円)の罰金が科される。

2021年3月13日/イギリス、ロンドン南部のクラッパム・コモン、殺害されたサラ・エバラード氏を追悼する集会(ハンナ・マッケイ/ロイター通信)

追悼集会を主催した団体は13日遅くの声明で次のように述べた。

「警察、政府、そして刑事司法制度の誤りを認める時が来ました。今夜、警察は最も破壊的な方法で平和的に抗議する女性を打ちのめしました」

団体によると、主催者は追悼集会の安全を確保するために警察と話し合い、協力を要請したという。しかし、警察はコロナ規則に従い、イベントは違法と判断した。

ロンドン警視庁のヘレン・ボール副長官は深夜の声明で警察官を擁護した。

「警察官たちはコロナの感染拡大を引き起こすリスクに直面し、規則に従い職務を遂行しました」

「警察官たちは人々に法律を遵守し立ち去るよう繰り返し勧めました。しかし、残念なことに、一部の人々は警察官を威圧し、物を投げつけました」

「ロンドン警視庁は平和的な抗議者を取り締まりたいとは思っていません。しかし、私たちにはコロナの規則に従い、市民の安全を守る責任があります」

ボール副長官によると、公序良俗違反と健康保護規則違反で4人を逮捕したという。なお、地元警察は13日夜の集会に参加しないようツイッターやホームページなどで市民に呼びかけていた。

ロンドン警視庁のクレシダ・ディック委員も13日午前の声明でコロナ規則の遵守を訴えていた。

「私たちはまだ世界的大流行の真っただ中にあり、集会の開催は違法かつ安全ではありません。別の方法でエバラード氏の死を悼み連帯を表現してください」

ボリス・ジョンソン首相は先日、「エバラード氏の家族と友人のことを考えている。イングランドの通りの安全を確認するために、できる限りのことをする」とツイートしている。

英BBCニュースによると、ケンブリッジ公爵夫人は13日の午後に個人的にクラッパム・コモンの会場を訪問したという。地元メディアは、「公爵夫人はエバラード氏とその家族に敬意を表した」と報じている。

エバラード氏の失踪と死は、女性の安全に関する議論を巻き起こしている。

2021年3月13日/イギリス、ロンドン南部のクラッパム・コモン、殺害されたサラ・エバラード氏を追悼する集会(ホリーアダムス/ゲッティイメージズ)
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