◎イタリアが国内で消費する天然ガスはほぼ外国産で、ロシア産が全体の40%を占める。
2022年4月11日/アルジェリア、首都アルジェの政府庁舎、ベンアブデラフム首相(右)とイタリアのドラギ首相(Filippo Attili/Palazzo Chigi press office/AFP通信)

イタリアとアルジェリアの首脳は11日、両国のエネルギー関係を強化し、イタリアへの天然ガス輸出を増やす協定に調印したと発表した。

イタリアのドラギ首相はアルジェリアの首都アルジェでテブン大統領・ベンアブデラフム首相と会談した。

会談後、ドラギ首相は記者団に「他国も後に続くだろう」と述べ、アルジェリアとの協定はロシア産エネルギーへの依存度を減らす重要なステップになると強調した。

イタリアが国内で消費する天然ガスはほぼ外国産で、ロシア産が全体の40%を占める。

ドラギ首相は協定について、「半国営石油・ガス会社エニ(Eni)とアルジェリアの国営石油・ガス会社ソナトラックが署名した」と発表したが、協定の詳細は明らかにしなかった。

またドラギ首相は、「イタリアはアルジェリアと協力して再生可能エネルギーとグリーン水素を開発する用意がある」という見解を示した。

両国は今回の協定前に天然ガス契約を2027年まで延長している。

イタリア政府はロシアのウクライナ侵攻以来、コンゴ民主共和国、アンゴラ、アゼルバイジャン、カタールなど、数多くの代替ガス供給候補国と接触し、交渉を行ってきた。

西側の対ロシア制裁はロシア産エネルギーの輸送網にも影響を与えており、ロシア産天然ガスに大きく依存している欧州でガス不足が発生するという懸念が高まっている。

イタリアの環境相は先週、「イタリアは今年、アルジェリア、リビア、アゼルバイジャンのパイプラインから追加の天然ガスを得る予定である」と述べていた。

またイタリアはパイプラインだけでなく、米国、カタール、モザンビークなどの市場からの液化天然ガス(LNG)輸入を増やす取り組みも進めている。

伊環境相によると、国内にある3つのLNG基地をフル活用し、さらに2つの新しい浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)でも追加供給を確保する予定だという。

ドラギ首相は先週、天然ガス禁輸を含む新たな対ロシア制裁について、「イタリアはEUの決定に従う」と述べていた。

またドラギ首相は今回の訪問で、アルジェリア産天然ガスの主要な輸入国であるスペインとアルジェリア政府の緊張が高まっていることにも配慮したと伝えられている。

スペインは西サハラに対する中立政策を改め、アルジェリアの宿敵モロッコが提唱する自治計画を支持した結果、両国の関係は悪化した。

ソナトラック社は今月初め、スペインへの天然ガス販売価格を引き上げる可能性があると警告した。スペインは国内で消費するガスの40%以上をアルジェリアから輸入している。

スポンサーリンク