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イタリア・トリノ全域で停電相次ぐ、記録的熱波で送電網に負荷

停電は28日、トリノ市内の複数地区で発生し、住宅や商業施設、交通インフラに影響が広がった。
2026年5月26日/イタリア、ローマ市内(ロイター通信)

イタリア北西部トリノで停電が相次ぎ、欧州を襲う記録的な熱波が電力インフラに深刻な負荷を与えていることが明らかになった。現地では連日30度を超える高温が続いており、電力需要の急増によって送電網が耐えきれなくなっている。今回の停電は気候変動時代における欧州のインフラ脆弱性を象徴する事例として注目されている。

停電は28日、トリノ市内の複数地区で発生し、住宅や商業施設、交通インフラに影響が広がった。信号機の停止によって交通渋滞が発生したほか、一部地域ではエレベーター閉じ込め事案も報告された。商店や飲食店では冷蔵設備が停止し、営業中断を余儀なくされるケースも相次いだ。市民の間では「夏本番前にこれでは先が思いやられる」と不安の声が広がっている。

電力会社Irenによると、異常高温によって地下送電ケーブルが熱を持ち、設備障害が発生したことが主な原因だという。特にエアコン使用量の急増が電力需要を押し上げ、老朽化した送電網に過剰な負荷がかかった。Irenは約65万世帯に電力を供給しているが、近年の気候変動による猛暑頻発を想定した設備更新が追いついていなかった。

トリノ市長はX(旧ツイッター)への投稿で、「現在のインフラは過去の気候条件を前提に設計されている」と述べ、都市インフラの抜本的な近代化が必要だとの認識を示した。市当局は高齢者や体調不良者向けに冷房設備のある公共施設を開放し、市民に対して不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。

欧州では近年、熱波による電力需給逼迫が頻発している。フランスやスペインでも冷房需要の急増によって電気料金が上昇し、一部地域で送電障害が発生した。再生可能エネルギーの拡大が進む一方、送電インフラの更新速度が追いついていないことが各国共通の課題となっている。

Irenは2030年までに5億ユーロ超を投じて送電網を近代化する計画を進めている。しかし、専門家は「気候変動の進行速度に対し、インフラ整備が遅れている」と警告する。猛暑が常態化すれば、欧州各都市で同様の停電リスクが高まる可能性がある。

今回の停電は単なる一都市のトラブルにとどまらない。脱炭素化と電化が進む現代社会において、電力インフラの強靱化が国家的課題になっていることを改めて浮き彫りにした。気候変動への適応策を急がなければ、都市機能そのものが脅かされる時代に入りつつある。

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