◎クルド人女性のアミニさんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺された事件は発生からまもなく4カ月を迎える。
2023年1月8日/フランス、中部リヨン、イラン政府に抗議するデモ(Laurent Cipriani/AP通信)

欧州各地で8日、イラン指導部と道徳警察の暴力に抗議するデモが開催され、数千人が参加した。

フランス中部リヨンではクルド系住民が攻撃を受けていることに悩み、苦悩の末に自ら命を絶ったクルド人男性に連帯する集会が開かれ、数百人が参加した。

リヨンの警察当局によると、市内の会場には約1000人が集まったという。

自殺した男性は2019年にフランスに渡り、歴史学の博士号取得を目指していた。男性は生前に撮影した動画で欧米諸国に連帯を呼びかけていた。

リヨンのデモ隊は「イラン指導部は自国民を処刑するな」などと書かれたプラカードを掲げ、市内を行進した。AFP通信によると、他の地域から参加した市民もいたという。

ロンドンやローマなどでも数百人が行進した。

リヨンのデモに参加した女性はAP通信の取材に対し、「亡くなった男性は西側諸国がイラン国民を支持し続けることを願っていた」と語った。

クルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺された事件は発生からまもなく4カ月を迎える。

アミニさんは昨年9月、ヒジャブ(スカーフ)を正しく着用していないという理由で道徳警察に暴行を受け、殺害された。

アミニさんの死に抗議するデモはクルド系住民が生活する地域から世界に広がり、イランの多くの女性がヒジャブを脱ぎ捨て、指導部に抗議した。

一方、イラン当局は今週、抗議デモ中に逮捕した男性2人を絞首刑に処した。デモ中に逮捕され、処刑された民間人はこれで4人となった。

逮捕された市民の裁判はすべて非公開で行われ、2人目の死刑囚は建設用クレーンに吊るされ、公衆の面前にさらされた。

ロンドンではデモ参加者が革命前のイランの国旗を振りながらトラファルガー広場まで行進し、抗議デモ中に死亡した市民の写真などを掲げた。

デモ隊はイランで広く共有されている「女性、生命、自由」と唱えながら行進した。

ローマの在イラン大使館前に集まったデモ隊は「殺人鬼」「イラン指導部は解散しろ」などと唱えた。

トリノの日刊紙ラ・スタンパによると、イラン指導部の不当な投獄・拷問・処刑に反対する署名活動には30万人が署名したという。

イタリアの他の都市でもデモや集会が開催された。

ローマのデモには連邦議会の議員も複数参加したようだ。

若手女性議員のカルファーニャ( Mara Carfagna.)氏はツイッターに声明を投稿し、違法裁判による死刑判決と市民に対する暴力を糾弾した。

またカルファーニャ氏はメローニ(Giorgia Meloni)首相に対し、10日に予定されている欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長との会談でイランにより強い制裁を科すよう圧力をかけるべきと提案した。

2023年1月8日/イギリス、ロンドン、イラン政府に抗議するデモ(Jonathan Brady/PAメディア)
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