◎首都レイキャビクの南西に位置する火山ファグラダルスフィヤル(Fagradalsfjall)は3月19日午後8時45分頃に噴火した。アイスランド気象庁と英国気象庁によると、同地域では過去3週間の間に大小合わせて50,000回以上の地震を記録していたという。
2021年3月20日/アイスランド南西部のレイキャネス半島、現地の状況を確認する沿岸警備隊のヘリコプター(ゲッティイメージズ)

アイスランドの気象学者によると、首都レイキャビクの南西に位置する火山ファグラダルスフィヤル(Fagradalsfjall)の噴火は沈静化しつつあるという。また、火山ガスが周辺の居住地区に到達したという報告もなく、市民の健康と福祉に影響を与える可能性は低いと報告した。

レイキャネス半島で噴火を確認したのは781年ぶり。ファグラダルスフィヤルは少なくとも6,000年間は火山活動を休止していたと伝えられている。

ファグラダルスフィヤルは3月19日午後8時45分頃に噴火した。アイスランド気象庁と英国気象庁によると、同地域では過去3週間の間に大小合わせて50,000回以上の地震を記録していたという。

地球物理学者のポール・エイナルソン氏はAP通信の取材に対し、「一晩ファグラダルスフィヤルの状況を間近で観測した結果、噴火は沈静化するという結論に達しました」と述べた。

火口は首都レイキャビクの郊外から32kmほど離れており、緊急事態管理局は火山ガスのレベルが大幅に上昇しない限り、避難指示を出すことはないと述べた。

ファグラダルスフィヤルの北西約20kmに位置するケプラヴィーク国際空港は声明で、「フライトに影響は出ていない」と述べた。また英国気象庁も同国際空港のウェブサイトの中で、「火山灰を大量に噴出する兆候はなく、差し迫った危険はない」と報告している。

2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火はヨーロッパ全土と北アメリカの航空路線に大きな影響を与え、欠航を余儀なくされた便は10万を超えた。

アイスランド気象庁は火山ガスに警戒するよう周辺住民に呼びかけていたが、地元メディアによると現時点で事故等の報告は入っていないという。

ファグラダルスフィヤル(Fagradalsfjall)

AFP通信によると、ファグラダルスフィヤル近くの道路(2.5kmほど離れている)に規制線は張られていないが、火口周辺に接近するには足元の悪い岩場を数時間歩く以外に道はなく、見学者はカメラマン以外ほとんどいなかったという。

アイスランド気象庁は声明で、火口周辺には絶対に近づかないよう呼びかけていた。

「火山性ガスによる汚染は火口周辺以外では確認されていません。当局は今後も噴火とガス監視を継続します」

ファグラダルスフィヤルの火口調査は沿岸警備隊のヘリコプターが行っている。

エイナルソン氏によると、火口の亀裂の長さは約500mほどだという。溶岩は最も近い道路から2.5kmほどの位置まで流れ出したが、影響は報告されていない。

火口から数キロ離れた町グリンダヴィークの郊外で生活するソルニー・パルスドティー氏はAP通信の取材に対し、「子供が噴火に気づきました」と述べた。

「自宅近くの山が噴火するとは思いませんでした。今日も白い煙が上がっています。地震は落ち着きつつあるのでほっとしています」

2021年3月20日/アイスランド南西部のレイキャネス半島、ファグラダルスフィヤルの火口周辺の様子(ロイター通信)

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