ICC主任検察官が職務停止処分、セクハラ疑惑で、締約国会議が最終判断へ
カーン氏は一貫して疑惑を否定している。
のカーン主任検察官(AP通信).jpg)
国際刑事裁判所(ICC)のカーン(Karim Khan)主任検察官による女性職員に対するセクハラ疑惑を巡る懲戒手続きが進められることになり、8日に職務停止処分を受けた。ICCを監督する締約国会議(ASP)は今後特別会合を開き、同氏を職務に留任させるか、あるいは解任するかについて最終判断を下す見通しだ。今回の措置はICC史上でも前例のない事態となっている。
問題となっているのは、カーン氏が女性補佐官に対して不適切な性的接触を行ったとされる疑惑である。国連の内部監査室(OIOS)が実施した調査では、同氏が執務室や私邸、公務出張中など複数の場面で女性職員と非合意の性的接触を行ったことを示す証拠が確認されたという。一方で、ICC側が任命した3人の司法専門家による審査委員会は調査結果について「懲戒処分を裏付ける、決定的な証拠とはいえない」との見解を示していた。
カーン氏は一貫して疑惑を否定している。同氏は2025年5月、自ら職務から一時的に退き、調査結果を待つ姿勢を示していた。弁護団も疑惑を裏付ける十分な証拠はないと主張しており、一部の司法関係者からは「性的接触を認定できる水準の証拠は示されていない」との指摘も出ている。
しかし、監督機関は調査報告書や証拠資料、専門家の意見書などを総合的に検討した結果、正式な懲戒手続きを進めるべきだと判断した。今後は125の加盟国で構成される締約国会議が特別会合を開催し、秘密投票によって処分の是非を決定する。解任には過半数の支持である。
今回の問題はICCが世界各地の戦争犯罪や人道に対する罪を追及する中で発生したため、ICCの信頼性にも影響を及ぼしている。カーン氏はこれまで、ウクライナ戦争やスーダン内戦、さらにはイスラエル・パレスチナ問題などの重大案件を担当してきた。特にイスラエル首脳らに対する逮捕状請求を巡っては各国の政治的対立も激しく、疑惑を巡る議論には地政学的な思惑が絡んでいるとの見方もある。もっとも、これまでの調査では疑惑が政治的な陰謀によるものだと裏付ける証拠は確認されていない。
ICCは戦争犯罪やジェノサイド、人道に対する罪を裁く世界唯一の常設国際刑事裁判所であり、そのトップ検察官の進退は国際司法制度全体の信頼にも関わる問題となる。締約国会議による最終判断がいつ下されるかは未定だが、世界の法曹界や人権団体が審議の行方を注視している。
