◎デモ隊は政府が過失致死傷罪などで起訴された59歳の駅長に全責任を負わせようとしていると非難している。
2023年3月8日/ギリシャ、首都アテネ、列車衝突事故に抗議するデモ(ロイター通信)

ギリシャ首都アテネで8日、先月末に発生した列車の衝突事故に抗議するデモが行われ、数千人が参加した。

デモ隊は政府が鉄道網の改修や安全対策を怠ったと非難した。

中部ラリサで先月末に発生した衝突事故の原因は、駅長が線路のポイント切り替えを行わなかったためとされている。

この結果、350人以上を乗せた旅客列車は貨物列車と正面衝突、57人が死亡する同国史上最悪の鉄道事故となった。

アテネ警察によると、8000人以上が国会前に集まり、シュプレヒコールを上げたという。

デモ隊はその後、事故を起こした鉄道運営事業社ヘレニック・トレインの本社前まで行進した。

この会社は2017年に民営化され、鉄道網の維持管理には責任を負っていない。ギリシャの線路網約2550kmはギリシャ国鉄(OSE)が管理している。

機動隊は抗議デモを受け、アテネ中心部を走る地下鉄4駅を封鎖した。

デモには公務員、労働組合、大学生などが参加した。

第2の都市テッサロニキでは約5000人がデモを行い、政府の責任を追及した。

デモ隊は政府が過失致死傷罪などで起訴された59歳の駅長に全責任を負わせようとしていると非難している。国営放送ERTによると、この駅長は3カ月の研修を受け、1カ月ほど前に着任したばかりだった。

デモは平和的に終了したものの、今週は初めに行われたデモに比べると、参加者ははるかに少なかった。8日のデモにはアテネで3万人以上、テッサロニキには2万人以上が集まった。

国内最高峰のテッサロニキ・アリストテレス大学では12日、事故で死亡した学生12人の追悼式が行われた。

線路のポイント切り替えを怠ったとされる駅長は過失致死傷罪などで起訴され、カラマンリス(Kostas Karamanlis)運輸相と会社幹部は事故の翌日、辞任した。

ギリシャの鉄道網は慢性的な予算不足で改修が進まず、この事故で安全システムにも深刻な問題があることが明らかになった。

春の総選挙で再選を目指すミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は守勢に立たされている。同氏は事故に関する司法調査に全面的に協力すると約束した。

先週公表された最新の世論調査によると、与党と左派野党の支持率は事故前に行われた世論調査と比較してほぼ半分に縮まった。

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