セルビア議会選で親ロシア派のブチッチ氏が敗北、モスクワに打撃、学生主導の反政府運動が歴史的勝利
ロシアはブチッチ政権を欧州における重要な友好勢力と位置付けてきた。
とプーチン露大統領(Darko-Vojinovic/AP通信).jpg)
セルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領が率いる与党連合は10月25日の議会選挙で、学生主導の反政府運動を基盤とする勢力に大敗した。ロシアにとって欧州における重要な協力相手を失う結果となり、モスクワでは地政学的な影響力の低下を懸念する声が広がっている。ハンガリーのオルバン前政権が6カ月前に選挙で敗北したことに続く打撃となった。
セルビア選挙管理委員会の集計では、開票率99%時点で、学生主導の反政府運動「学生リスト」が得票率52.7%を獲得。ブチッチ氏が率いる与党・セルビア進歩党(SNS)主導の連合は39.2%にとどまった。学生側は定数250議席のうち139議席を確保する見通しとなり、与党連合は97議席に後退した。ブチッチ氏は敗北を認め、首都ベオグラードをはじめ全国各地で支持者らが勝利を祝った。
学生運動は2024年に北部ノビサドで駅の屋根が崩落し、16人が死亡した事故をきっかけに拡大した。抗議者たちは、事故の背景に汚職や縁故主義があると批判し、政府の責任追及と政治改革を要求してきた。約2年間にわたる反政府運動が、2014年以来、首相または大統領としてセルビア政治を主導してきたブチッチ氏の支配を揺るがした。
ロシアはブチッチ政権を欧州における重要な友好勢力と位置付けてきた。セルビアは欧州連合(EU)加盟を目指しながらも、ウクライナ侵攻を巡る対ロシア制裁に参加せず、ロシア産天然ガスへの依存を含め、経済・政治・軍事面でモスクワとの関係を維持してきた。
ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は選挙結果を受け、ブチッチ氏の両国関係への貢献を評価し、新政権にもロシアとの協力がセルビアの利益になると理解するよう期待を示した。一方、ロシア国内では、セルビアがEUとの関係を深め、外交政策を欧州側に近づける可能性への警戒が強まっている。
ただし、学生リストはロシアへの制裁導入や北大西洋条約機構(NATO)加盟を否定し、軍事的中立の維持を掲げている。新政権の外交方針はまだ不透明であり、対ロ関係が直ちに転換するとは限らない。今後は新政権の具体的な政策決定が、ロシアの欧州における影響力を左右することになる。
