◎トルコとロシアはエネルギー、防衛、貿易で緊密に連携している。
2022年3月14日/トルコ、首都アンカラ、エルドアン大統領とドイツのショルツ首相(Burhan Ozbilici/AP通信)

ドイツとトルコの首脳は14日、ロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けた外交の継続を約束し、二国間の関係改善とNATOの重要性をあらためて強調した。

トルコのエルドアン大統領はドイツのシュルツ首相との共同記者会見の中で、「私たちはNATOの同盟国として、共通の意見と懸念を共有した」と語った。

トルコは先週、ロシアとウクライナの外相会談を仲介した。

エルドアン大統領は、「私たちはゼレンスキー大統領とプーチン大統領との友好関係を守らなければならない」と述べ、ロシアにも配慮する姿勢を見せた。

トルコとロシアはエネルギー、防衛、貿易で緊密に連携している。トルコ政府は欧州とは異なり、ロシアの旅客機を領空から排除していないが、エルドアン大統領は「トルコは国連のルールに基づき、必要なことは何でもしてきた」と強調した。

エルドアン大統領は、ロシア製の地対空ミサイル購入を停止すべきという警告には言及しなかった。米国はトルコのS-400ミサイル購入に激怒しており、防衛当局者に制裁を科し、トルコにステルス戦闘機を販売しない方針を示している。

エルドアン大統領は、「トルコは他のNATO加盟国以上にウクライナを支援しており、大型トラック50台以上の人道物資を提供した」と述べ、国際社会にアピールした。ウクライナ軍が使用しているトルコの無人戦闘航空機バイラクタルはロシア戦車に対抗する重要な戦力のひとつと見なされている。

一方、ショルツ首相は戦争を外交的に解決する必要性を強調し、ロシアにウクライナへの攻撃を直ちに停止するよう求めた。「ロシアは日を追うごとに国際社会から遠ざかっています...」

またショルツ首相は、トルコのボスポラス海峡とダーダネルス海峡封鎖を評価した。

1936年に発効したモントルー条約は、「商業船舶はエーゲ海、マルマラ海、黒海を結ぶボスポラス海峡とダーダネルス海峡を自由に往来できる」と規定する一方、有事の際にはトルコに軍艦の通航を阻止する権利を与えている。

ドイツとトルコは貿易面で強い結びつきを持っており、2021年の二国間貿易額は410億ドル(約4.8兆円)を上回るとされている。エルドアン大統領は声明の中で、両国の今年の貿易額を500億ドルまで引き上げたいと述べている。

ドイツは欧州への移民流入に対処する取り組みでトルコを重要なパートナーと見なしている。毎年数万人の移民希望者がトルコを経由して欧州に向かっている。

またドイツはエルドアン大統領の暴言や人権を軽視する政策や取り組みに強い懸念を示しており、一部の人権団体も今回のウクライナ侵攻でトルコが仲介役として活躍すれば、国内の人権問題がないがしろにされる可能性があると警戒している。

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