◎ドイツはロシア産天然ガスの供給量が大幅に減少したことを受け、石炭火力や原発でその不足分を賄おうとしている。
2022年10月15日/ドイツ、首都ベルリン、ショルツ首相(Carsten Koall/ドイツ通信社)

ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は17日、原子力発電所3基の運転期間を来年4月中旬まで延長するよう関係閣僚に命じた。

ドイツの原発は年内にすべて閉鎖される予定であった。この計画はシュレーダー(Gerhard Schroeder)元首相が2000年代初頭に策定。その後継者であるメルケル(Angela Merkel)前首相は原発の運転期間を延長するという自身の決定を覆し、2022年末に設定した。

ドイツはロシア産天然ガスの供給量が大幅に減少したことを受け、石炭火力や原発でその不足分を賄おうとしている。

首相府によると、ショルツ氏は書簡で関係閣僚に指示を伝えたという。

反原発派の「緑の党」を率いるハーベック(Robert Habeck)副首相兼経済・気候保護相は今冬の電力不足を回避するため、南部にある2つの原発の運転期間を延長すべきと提案していた。

一方、親ビジネス派の自由民主党を率いるリントナー(Christian Lindner)財務相は現在稼働中の3原発すべての運転期間を延長し、4月以降も稼働させ続けるよう提案していた。

ドイツを含む一部の欧州諸国は▽原発廃止▽廃止に向けた取り組みを加速させている。

ドイツはロシアのウクライナ侵攻でロシア産天然ガスの供給量が激減したことを受け、温室効果ガスを大量に排出する古い石炭火力発電所や石油火力を再稼働させている。

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんは先週、独メディアのインタビューで、「石炭を燃やすぐらいなら原発を動かした方がマシ」とショルツ政権の方針を批判していた。

一部の環境活動家は火力だけでなく原発の廃止も求めているが、再生可能エネルギーだけで電力需要を賄える国は少ない。ドイツも再生可能エネルギーの発電量が目標値に達するまでは天然ガスを使用する方針である。

フラウンホーファー研究所(FHR)のレポートによると、ドイツの2021年の総発電量における再生可能エネルギーの割合は約40%、火力は50%、原子力は10%だった。

2022年3月18日/ドイツ、ニーダーザクセン州の風力発電設備(Martin Meissner/AP通信)
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